AGENDA(手帳)

女神さまっの手帳には

天上界のライブラリーには
それぞれの女神さまっの日誌がある...


そのほとんどがメモリーチップに記憶され
理路整然と保管されている様は、そこが
まさに天上界といわれる由縁なのである。


ユグドラシル管理を拝命された時の守護神
その名を女神ウルドと言う
かつてウルドの泉と称された命の泉を管理し
この世界の、そして時代の安命を湧けていた。


遠い昔、彼女の妹が人間に恋をした
それは甘美な誘い、そして誘惑でもあった。
現在から遥か彼方、五千万年前の昔
この地球に壮大な文明が築かれていた時の事だった。


「まるで昨日の事のようだわ…」
ウルドがメモリーチップを手にすると、それは
瀟洒な皮の装丁の本に姿を変えた。


天上界は、言うなれば思いの世界である
その者の思念が形になると言っても良いだろう
もっとも、清らかな思いが無ければこの世界には存在できない


ウルドは静かに瞳を閉じ、悠久の過去へと思いを巡らせる
そしてその時の事を、鮮明にまぶたに浮かばせるのだった。



 天上界の日常 その後。

by belldan Goddess life.





それはまるで音楽のようだわ
たくさんの楽章から奏でられる調べは
どれもこれも今となれば美しいものばかり...


この世界の大交響曲はそれがそのまま
わたしたちの歴史でもあるから...


そして今でも続いている恋物語
永遠の時の中で静かに微笑んでいる。