2008-01-01から1年間の記事一覧

夢の続き…そして

心の中に、とても爽やかな風が吹き渡った感じがした。 今までのモヤモヤとした気持ちが一蹴され、自分の 正直な気持ちだけが、そこに在る。 もう、逢えないかも知れない。 でも、それでも良い。 後悔は無かった。 「ベルダンディーを愛している」 この思いだ…

夢の続きを 10

無音の中を歩く。すでに足音さえ聞こえなかった。 ただ前を見て、ただそこに意識を集中させて、螢一は 歩いて行った。 この角を曲がると、俺達が初めてここを訪れて、そして その朝、彼女が小鳥たちを戯れていた、あの大きな石の ある場所がある。 あの時の…

夢の続きを 9

夢、夢の続きって何だろうと思った。 彼女と再会し、また夢が続いて行くとも感じたのだが 同じ繰り返しは嫌だとも感じた。 俺は彼女にとって、どんな存在だったのだろうか。 彼女は再会して「ただの女として、好きです」と言って くれた…。 女神としてではな…

夢の続きを 8

彼女は…女神さまっなんだ… この一点に、螢一は思いを集中させる。 以前、俺の元へ降臨してくれたのは、サエない俺の為に ひとつだけ、願いを叶える為だけに…それだけ。 考えれば、我ながら大変な願いをしたものだ。 しかしその願いがあればこそ、それからの…

夢の続きを 7

これが螢一さんっの新しい住まい、これが螢一さんっの 新しい生活なのだわ、とベルダンディーは思う。 そして、とても懐かしい感じがした。 新しいのだけど、どこか哀愁を帯びた建物もそうだけど そうなんだわ…私が始めて螢一さんっと出会った場所も こんな…

夢の続きを 6

ふたりの絆、それは時が刻んだ歴史でもある。 その暦には、たくさんの記念日が輝いていて どんな小さな事でも、どんな些細な事でも それはすなわち、ふたりの共通の記憶であった。 昨夜、夢から覚めた螢一は、彼女から貰った腕時計が また動き出していたのを…

夢の続きを 5

クリスマス・イヴの当日、普通に出勤した螢一は とても珍しい光景を目にした。 「あれ、千尋さん!?」 螢一より早く出社してくるのは、何時以来だろうか。 店の脇に千尋さんのドゥマーニが止まっている。 その横に自分のBMWを止めて、店の扉を開けた。 …

夢の続きを 4

人は誰でも夢を見る。 それがどんな時代でも、どんな状況下でも。 殊更、苦境に立たされた時には、現状を嘆くでもなく 未来へと夢を託して、歩み続けて行く。 心のどこかで、夢を続きを求めている。 それが無理な注文だとしても、そして自身で諦めを認め 日…

夢の続きを 3

それは12月の朝。 そろそろ本格的な冬将軍の到来と思える寒さに、 中々身体が思うように動いてくれない。 「さ、寒い…」 それでも仕事には行かなくてはならない。 覚悟を決めて布団から這い出した俺は、小さな流しの前で 思い切りあくびをしながら、朝の支…

夢の続きを 2

このまま 時を止めて このままで ずっと君と その意味と 愛情と 映し鏡のような ふたり だなんて その瞳 映る人は誰かな だなんて もう一度 時を止めて このままで 眠っていた時間が動き出して 起きていた時間が眠り出して まるで デタラメな世界に ふたりの…

ユメミルクスリ

ユメミルクスリ あなたのゆめ ひとつだけ かなえてアゲルわ 今夜だけ へやの窓 そっと開け放して 夜風にゆれる おまじないネ 食後のあと 用量守って 一気に飲むのよ ユメミルクスリ あとは運次第ね がんばれ男の子 大好きなあの娘 瞳輝かせて 両手を胸に そ…

夢の続きを

もし君が、普通の女の子だったら... もう瘡蓋をめくる様な、そんな生き方は止めよう。 自分の過去に封印をして、現在そして未来へと俺は 歩き出していた。 何とか卒業出来た大学には、あれから数年訪ねていない。 自動車部の部長として、そしてOBとしては…

星のささやき

最近、朝早く起きると吐く息が白く 気温の下降が手に取るように分かる。 もう少し、もう少しだけ、と気持ちは 布団に惹かれてしまうのだが、そうは行かない。 早く支度をしなくちゃな。 秋が深まって行く、ある日の事。 どうにか部屋を出て、洗面所まで向い …

’cause I love you

'cause I love you どんな約束をしたかしら それは夢の果てで交わした言葉かしら 紡いで来たたくさんの想い出の中に こんなにもあふれているあなたの笑顔 願いは叶うかしら 夢は実現するかしら それとも命の続く限り想い描いて 尽き果てるその日を待ちながら…

小さな女神さまっ

小さな女神さまっの夢は、多くの人のお役に立てる事。 この世界には、たくさんの素敵な物語があって 人生を謳歌しているようにも見えた。 「楽しそうだわっ」 もし誰かが、道に迷い、安らぎを失って涙するのなら その憂いを払って、初めて見た笑顔を取り戻し…

恋のレッスン3

もうすぐ11月も終わる。 12月でなんと、4年目だ(笑) あ、ここのブログの事で。 劇場版「ああっ女神さまっ」のサントラを 流しながら、あれこれと思案して 最新話の事とか、ここで掲載してる日常話とか 色々とギャップがあって。 そんな事があって、じゃ…

落葉

その者はカサカサと音を立てて 夜空に流れる風に身を任せて 舞い落ちるのだ。 降り積もる落葉は、その天寿を全うして 地上に落ちて来る。 風に吹かれ、カサカサと夜を彷徨して やがて静寂が訪れた。 朝。 他力本願寺の横、母屋の玄関が開き 訪れた朝の光の中…

彼女は

大通りを左折して、一つ目の交差点を右へと周り 橋を越え、その橋の辺に小さな店がある。 階段を挟んで、右がギャラリーだ。 そして、左側はお茶の専門店らしい。 川面を走る風を感じながら、いつもそこを通るのだが 開店時間が異なる為に、いつも行けず仕舞…

銀杏

季節は巡る 春秋夏冬と でも決して 同じ日はない。 過ぎ去った過去の 砂時計 ひっくり返して 元通り だなんて おかしいよね ありえないよね。 季節には季節の香り 自然の芳香 芳しい香り そうじゃない香りも。 「く...臭いよぉ!」 誰かが境内の中にある銀杏…

ミルク・ティ

風に揺れされて、落ち葉がカサリと落ちた。 日中の温度と、風の温度が違い過ぎるって。 ちょっと寒い。そんな日。 山の紅葉がそろそろだと、彼女と共に行ってみた。 色彩が豊かに変わる自然の恵みに、感嘆したりして 笑い合って歩く、緩やかな山道で。 「わ…

風が生まれる場所で

重なり合う季節 時を紡ぐ風 生まれたての声 きらきらと 光浴びて 愛に包まれて 小さな旋風 笑った。 咲き誇る花の香りに 風が生まれる場所に 散り乱れる花びらの回廊に 風の子は降り立つ。 その 小さな手 両手を広げて 空高く差し上げて。 通り過ぎる風 透明…

Life is everyday magic

俺はぼんやりと、TVを観ている。 厨からは、とても良い匂いが漂って来て 今日の夕食に胸が高鳴るのを感じた。 少し遅めの夕食、俺を待っていた彼女に感謝しなきゃ。 「螢一さんっ 支度をお願いしますねっ」 厨から声がした。それは何時もの麗しい美声だ。 …

キノコ鍋かな。

「裏の山で、たくさんキノコが取れたんだよっ」 梨沙ちゃんは、そう言って大きく両手を広げた。 「こんなたくさんっ!」 それは昨日の事、ふたりがワール・ウインドへと 向かう途中で、偶然にも梨沙ちゃんに出会ったと言う訳だ。 ベルダンディーはとても嬉し…

秋の気配に

日毎に肌寒くなる季節 そろそろセッテッイングを変えてみようかと あれこれ思案している夕暮れ時 店先からバイクの排気音が聞こえて来た。 「あら、もう閉めようと思ってたのに...」 閉店間際のお客さんの登場だ。 それでも笑顔、さすが商人の千尋さんだ。 …

ずっと、恋している。

「かんなぎ」この作品を拝見して思う事がある。 ある日突然現れた女の子は、神さまだった…だなんて 今では定番の設定なのだが、やはり夢があるよね。 空から女の子が落ちてきた、だなんて、ラピュタみたい… 棚から牡丹餅、有り得そうで有り得ない話は、古今…

今夜の月は/Fin

その月が、あんなに遠く高く空に輝いている時間 聖なる扉が啓かれんとする。 そこにあるのは、ただひとつの啓示か、それとも深遠なる 奈落への招待状か。 パンドラの櫃を開放し、最後の出てきたものは、希望。 それすらも永遠の時の彼方へ、忘却されてしまう…

今夜の月は/2

庭に咲く群生の花の香りが、風に乗って ここまで届いて来る。 朝、そして昼間に感じた香りとは違う、もっと濃厚な香り が二人を包むようだ。 そっと触れた彼女の肩、吐息のような「あっ」と言う声に いつも以上に敏感に反応してしまう。 「あ、ごめん…」 い…

今夜の月は

風にそよぐ群生の花に酔うて 自分がどこにいるのか、判らなくなる。 風の向きに合わせて、花弁をゆらせて 香りが鼻腔をくすぐる。 「ここは、どこだ?」 なんてね、ここは正しく他力本願寺の境内の中 その中の庭の一部なんだけど、幽玄な空間のように 見事に…

花のある風景

気が付けばそこに、一厘の花があって 部屋の雰囲気を変えてくれている。 「可愛いでしょ?コスモスですっ」 そう言ってベルダンディーは微笑む。 庭のどこかに群生していた秋桜、その可憐な花は こうして食卓を飾ってくれているんだな。 「うん、そうだね」 …

森里家の団欒

楽しい団欒には、愛がある。 それはここ、森里家の食卓でも同じだ。 「はい、螢一さんっ」 ご飯をよそったお茶碗を差し出すベルダンディーは いつもどおりの満面の笑みで彼を見詰める。 少し照れながらも、受け取る時、ふと触れる柔らかな 彼女の掌にドギマ…