2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧
何から伝えて行けばいいんだろう。 君のその優しさは、何処から来ているのだろう。 例えば大きな大木のような、どっしりとした構えで 何事にも揺らされない、確りとした意思のような。 君のその燐とした強さは、何処から来ているのだ。 例えば風に揺れる柳の…
螢一達が暮らす他力本願寺の母屋の近くには、たいそう立派な お社がある。 周りは木々に囲まれていて、朝など朝霧に包まれていて荘厳な 雰囲気の中、静かに鎮守しているようだ。 何を鎮守しているのか、それは多分この地に住まう生きとし生ける 者全ての安ら…
「・・・俺は、ベルダンディーの事が大好きだぁ〜〜!!」 誰もいない母屋の、とある部屋で男の叫びが響き渡った。 ウルドは醸造酒の品評会とやらで留守だし、スクルドに至っては 仙太郎君との逢瀬で、随分前に家を後にしていた。 そしてベルダンディーは、猫実…
この季節は雨ばかりで憂鬱になるわね。 ホント誰かどうにかしてほしいものだわ。 不況?なにそれ食べれるの? デフレスパイラルって、新しいパラソルかしら? 物が安いのは良い事だと思うけど、ブランド物の価値まで 下がるのって、何となく嫌だわよね。 ほ…
小鳥の鳴き声で目覚めた朝、自然に意識が覚醒したような気が した。 不思議な静寂の中で、確かに心だけが鋭敏に捕らえる出来事は いつだってこんな感じなんだ。 今、彼女は朝の献立を完成させて、満足げに笑みを浮かべてる。 そして台所を出て、廊下を歩き、…
風に乗った雲がやがて緩やかに下降して山肌に触れると 今まで水蒸気だった水達が、その小さな姿を現して行く。 木々に当たる水滴が、やがて地表に降り、地面に中に姿を 消して行く時、周囲には何とも言えない穏やかな空気が漂う。 そしてまた、風はその空気…
6月の花嫁は幸せになれると言う。 風の中に湿気を含んで、高い空に雲が佇む。 日の光を遮り、影の中に潜んでいるのは あの白い麦藁帽子の乙女達。 やがて来る夏の予感に、小さな胸は震えて だからそっと手を繋いでほしいと思う。 緩やかに下降していく雨雲…