2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

天上界の恋人4.

天上界の恋人4. 「ペイオースは貴様にとって、どんな存在なのだ?」 いきなり高飛車な質問だ、と螢一は思った。バルドと言う少年は 堂々としているのだが、その風貌から見ると、かなり無理している ような気もしてくる。ポリポリと頭を掻いて質問の意図を…

天上界の恋人3.

天上界の恋人3. 「まぁ!螢一さんっのお友達だったのねっ!」 ベルダンディーは嬉々として言った。 まぁ何か違うような気もするが、それはそれで良いかと、バルド は事が運ぶ事に同意する。しかし、何で子供の姿で顕現したのか、 甚だ疑問に思う訳だが、こ…

天上界の恋人2.

天上界の恋人2. ペイオースの”元”恋人と称する男性神が、思い余って地上界に 降臨すると言う次第になった。それは別段、天上界でも話題には 成らなかったのだが。男性神の真名はバルドと言った。そして、 その名は天上界でも一目置かれている存在であった…

天上界の恋人

彼女の艶やかな髪が揺れた。 振り返るその姿は、まるで奇跡のようだ。 ゆっくり、そして流れるようにして向けられる表情は 少し驚いて、少し煌いて、そして少し頬染めて。 「ペイオース!」 「あら、あなた、でしたの・・・ごきげんよう」 彼女は私の恋人だった…

心で奏でるもの

猫実市の小高い丘にある他力本願寺の裏庭から、柔らかな声が 響き渡る。それは小鳥達の囀り、それとも季節風が木々を揺らす音 なのか。自然の中にある音の粒をすくい取って、それを掌に包んで 慈しむ様に声を揃える。木々の陰影、木漏れ日、影絵のように姿を…

「義理チョコ」

「はいっ彦ちゃんっ!」 「さささ・・・里ちゃん!」 今日はバレンタインの日。女性が好きな男性に告れる日だ。 付き合い始めて数年が経過したカップルも、この日だけは何だか 神聖な気持ち、と言うか初々しい気持ちになってしまう。 彦ちゃん・・・その名に相…

スクルドって

「まったく!螢一は、まったく!!」 先日の玄関先の事件から数日、スクルドは事の次第を後で聞くと言う 羽目になるのだった。 「なんでその時にアタシが居ないのよっ!」 いたら絶対阻止してやったのに!アタシの大事なおねえさまっに 何て事を仕出かしてく…

ベルちゃんって

「おっ!猫だっ!」 そう言って螢一さんったら、猫さんの傍まで駆け寄って行って 抱き上げて頭とか顎とか、ナデナデしていたんです。 私、本当に単純に「いいなぁ」って思ったりしたんです。 それはいつもの帰り道の事、螢一さんっが「少し休もうか」と 言っ…

ウルド姉さんって

「う〜ん・・・はぁ・・・」 朝、ベッドから身を起こし、両腕を伸ばすウルドは 爽やかな朝には、およそ似つかわしくない溜息を漏らした。 昨夜の深酒が祟ったのだろうか、いや、それは無い筈だ。 彼女ほどの酒豪、バッカスも降参する程の酒神がだ、たかだか それっ…

節分の後で

それは節分が終わった数日後の出来事・・・ 「なんでアタシが”鬼”役なのよ〜!!」 ウルドは自室で、自身を鏡に映しながら憤懣遣る瀬無い、と 言った心境だ。 「・・・こんなに綺麗なおね〜さんを・・・」 ちょっとシナを作ったり、ウインクをしたりポーズを作ってい…

節分だね

先日、ベルダンディーと猫実商店街に買い物に出掛けた時の事。 ガチャポンが店先に並んであるお店があった。 玩具屋さんである。 普段は目にも留まらないのだが、ベルダンディーが、ふいに 尋ねて来た。 「螢一さんっ?あれは、何でしょうか?」 数台が重ね…