2010-01-01から1年間の記事一覧

メリクリ!

それは衝撃的な写真だった。 そろそろ冬休みに入りつつある学園からの帰り道で、カレンは マリアベルから一枚の写真を見せて貰った。 結論から言うと・・・どういうことなの? と言った所なのだが、 マリアベルは嬉々として 「だからねカレンちゃん、サンタは本…

未来への翼へ

「スクルド姉さまっ 未来ってなぁに?」 自室にて愛読書を紐解く未来を司る女神スクルドの元へと 尋ねて来たのは、言うまでもない最愛の姉ベルダンディーの娘、 マリアベルだった。その突然の来訪者に驚いた様子でもなく、 ごく自然に声の方へと振り向いたス…

ああっ6年経過っ

ちょうど6年前の昨日、12月9日に始めた拙ブログも 何とかここまで歩き(走ってない)続けて来たのも、ひとえに 訪問してくださった方々のおかげが大きいと思います。 ありがとうございます。 さて、これからも拙ブログは淡々と更新して行きますが、 それに…

師走、春待月。

何時の間にか12月になってしまっていた。 そんな他人事の様に月日の変化を言って見た所で、時間とは常に 平等に流れて行くものだと言う事はこの際、忘れようと思った。 慌しく変わる日常であるのだけど、ここに至っては時の流れが とても緩やかに感じられ…

ある日の出来事 9.

境内に落ちている枯葉達がくるりと弧を描きながら舞い上がると、 その中に見目麗しい女神さまっが降臨して来るのだった。 その、重力を感じさせない姿は、どこか、この世界から切り離された 存在だと思い知るに至るまで、そう時間はかからない。 小さな女の…

ある日の出来事 8.

バイクは山坂道を降りて行く。幾度かの曲り道、そして所々にある アップダウンにさしかかると、バイクは地面を跳ねて宙に浮かぶ。 その浮遊感が好きだ。 まるで重力を感じさせない一瞬に、どうしてだか心が躍る。 コーナーを旋回し、緩めていたスロットルを…

ある日の出来事 7.

「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」 小さな花達が可憐に風に揺れていて、その傍にはススキの群生が ゆらゆらと幻想的に周囲を囲んでいるように見えた。 きょとんとしているマリアベルの頭を撫でながら、螢一は言葉を綴る。 「女郎花、…

ある日の出来事 6.

何時もとは違うルート、山へと向かった螢一とマリアベルは 秋の透き通る空気の中で、頂上を目指すのだった。 山を覆う木々は、所々紅葉を帯びて色合いを変えていて、何か馥郁たる 香りを醸し出しているように思えた。 山肌の沿って、或いは小さな平地には鮮…

ある日の出来事 5.

ちょっと驚いた顔をして、それからまた優しい笑顔に戻って。 マリアベルは一目散に螢一の元へと駆け出して行く。それは、 まるで引力に引かれるようにして。 「おいで」 螢一はそう言うと、両手を広げてマリアベルを優しく抱擁した。 何も聞かないのかな?と…

ある日の出来事 4.

見上げた空には、鳶がくるりと輪を描いていた。 「鳥さん・・・?」 何だろうと思って傍にいる筈の猫の方を見ると、そこにはすでに 猫の姿は無かった。 「あれ?」 不思議に思うマリアベルは周囲を見渡したのだが、姿は無い。 何だかバカみたい、あたしって・・・ …

ある日の出来事 3.

思わず飛び出した先は、縁側のある裏庭だった。 ここはいつも季節の彩りを際立たせ、その自然の恵みはとても心地良く 風に運ばれる遠い世界の香りは新鮮で、それでいて懐かしくもあって ホッと心和ませる空間なのである。 縁側から望む眼前には小さな池があ…

ある日の出来事 2.

みんなのティールームで待っていたママは、少し悲しそうだった。 それからあたしの顔を見詰めて「はぁ・・・」と溜息を付いた。 「そこに座りなさい、マリアベル」 ママはそう言うと、ちゃぶ台の向かい側を指差した。 ママと差し向かいになる。こう言う時は決ま…

ある日の出来事 1.

マリアベルがまだ小さい頃、お使いを頼まれての帰り道で ある事件が起こったのを思い起こしていた。 駅前にはたくさんの自転車が放置してあって、駅に向かう人々が 足をとられてしまう。そこにある男性が、さらに一台の自転車を 停めた時の事だ。 強引に停め…

君の笑顔

不思議な笑顔だよね。 大学の試験が上手く行かなかった時とか、レポートの提出が 大いに遅れてしまった時とか、それから…得意のバイクでコケて しまった時とか、なんだろう、その時の君の笑顔はどうしてそんなに 優しいのだろうと思う。 上手く行った時の喜…

秋雨

「こりゃ参ったわねぇ…」 突然の雨に足を止められたウルドは、猫実商店街のアーケードへと 雨宿りに向かった。買い物帰りの途中のご婦人とか、お遊戯してた 子供達、仕事の途中なのだろうかサラリーマンが商店街の軒先へと 集まって空を眺めていた。曇天の空…

マリアベルの母の話

マリアベルと楽しい仲間達・・・と言う訳でもない。 現在(どんな現在だ?)中学二年のマリアベルとカレンは、 学校の人気者・・・だと思いたい。 可愛いけど怒ると怖くて、恋人にしたくないナンバーワンとして 君臨しているのだが、それはそれ、これはこれ。 カレン…

神無月

束の間の秋空に陽気が充満して行くのを感じた午後は ちょっと懐かしい想い出に浸ってみるのも悪くはない。 瞳を閉じて思い返していると、そこにはいつもあなたが いるので、きっと私、笑っている。 過去も、現在も、そして未来も… 「うふふ…」 母屋の縁側で…

私の太陽

「螢一さんっは、私の太陽ですっ」 とても暑かった夏の日差しが過ぎて行くと同時に、どこからか 雨雲がその姿を現して来て雨を降らす9月のある日に、彼女は 何時も通りの帰り道で、ふと思う訳だ。 手にしている買い物籠を持ち替えて、左手に傘を持った。 パ…

また君に会える

悲しく切ないニュースが蔓延している今年は、特に 君たちの愛情あふれる微笑が恋しいと思った。 願い事、ひとつだけ叶えてくれるのなら・・・ そんな訳で、来年初春に「ああっ女神さまっ」の 新作アニメがお披露目と相成るそうです。 詳細は、各自アフタ最新号…

また恋をしてしまった。

失恋をして、また君に恋してしまった。 淡い恋心、予め失われる運命の予感、心の中にぽっかりと 空いた風穴に通り過ぎる風の、なんて心地良いことだろうと 不思議な不思議な感覚に、まるで酔いしれるような我に思う。 きっと悲しみは、その跡に残された伝わ…

女神さまっの宴 8

えっと、その…私は何をどうすれば良いのだ? そして胸の奥底がチリチリと痛むのは何故だろう、とリンドは思った。 あの二人…こちらに向かって駆けて来る。その表情は雨の中ではっきり とは見えない。もしかしたら、先程伝えた私のジョークが悪かったのか そ…

女神さまっの宴 7

雨の中を一目散にして庭の池まで駆けていく螢一のうしろ姿に ベルダンディーは声を掛ける。 「螢一さ〜ん」 まるで雨なんか気にしていないって感じで走る螢一に向かって 彼女もまた、その雨の中を駆けて行った。 池のほとり、目を凝らすようにして中を見詰め…

女神さまっの宴 6

その威風堂々とした佇まいは、さながら戦場に赴く戦士のようで。 「では、行って(言って)来る」 ウルドとペイオースにそう伝えると、踵を返しみんなのティールーム へと進行して行くリンドだった。 あまりの衝撃と、あまりのバカさ加減に呆れてその場を動け…

女神さまっの宴 5

ええと、つまり… リンドは偶然と言うか、通りすがっただけではなくて、何と言うか 螢一に会いに来た、と言う事になる。それも、渾身の駄洒落を言いに である。これではまったく意味が分からない。しかも何やら異変の 匂いも感じる。 恋心の成せる業と言うも…

女神さまっの宴 4

リンドが頬を染める! その状況を冷静に観測する事など出来なかったペイオースだったが、 気を取り直して状況確認を続けるのだった。彼女が地上に来た理由は 何だったのだろうか。まさか本当にジョークを言うだけの為に降臨した と言う事は無いだろうとは思…

女神さまっの宴 3

取り敢えずここで立ち話をしていても埒が明かないだろうと ウルドはリンドを自室へと通すのだった。 あのまま裏庭の池の辺で女神三人が姦しく意見を交換した所で 何も進展は望めないだろうし、騒がしさにベルダンディー達が 気が付いて、事が大きくなるとも…

女神さまっの宴 2

さて、宴もたけなわ、と言った所で何やら裏庭の池の方が騒がしい。 もしかしたら、あの二人が池であんな事やこんな事をしているのか、と ウルドは思い。ペイオースを引き連れて酒の肴、と言うか見物に行こう としたのだった。 「まさか、ね…」 ウルドは先日…

女神さまっの宴

「あら、螢一さんっ 違いますよっ」 「そ、そうか・・・」 「うふふ」 「あはは」 みんなのティールームで、何時もの下らないTV番組を見るともなく 見ていたウルドは、台所で共同作業、と言うか何と言うか、楽しげに 自分達の世界にどっぷりと浸っている女神…

スタンドバイミー

12年と言う長きの連載を終えて「フルメタル・パニック」が 着地した地点は... 賀東招二氏の「フルメタル・パニック ずっと、スタンド・バイ・ミー」 を拝読させて頂いた。上下巻なる二冊の文庫本を手に取り、書店のレジ で並んだその時の思いは、実に感慨…

未来へ

スクルドは有能な女神さまっだと言う事。 旧式の家電が多い森里家で、日々困らずに家電を使用出来るのも 実は彼女の密かなアップデートが功を奏しているのであった。 半分は彼女の趣味、そして半分は大好きな姉への配慮であった。 時々、上の姉であるウルド…