7月の雨に

雨が降りそうな空を見上げて
「神さまっが かくれんぼ しているの?」
小さな手を空にかざし
「早く早く…出てきてください」
そして 両手を胸の前に合わせた


しめった空気がまとわりつく午後
散歩の途中の猫がいる
買い物帰りのおばさんや
急ぎ足での帰り道で


雨が 降ってきたよ


思わず飛び込んだ 軒下には
さっきの猫も 小さくなって
不安げな顔を見せた
「だいじょうぶ だいじょうぶだからっ」
その子も小さくかがんで 猫を見つめる


強くなって来る 雨音に
喧騒した町の音も掻き消されて
その子と猫だけの世界が広がっていく


そっと猫を抱き上げると
とても暖かくって
小さく「にゃお」って鳴いた
その子も笑って「にゃあ にゃあ」って
言ったのだ


きっとあたしを探してくれる人が来る
だからあなたもそんな人がいるだろう
暖かい温もりは 同じく生きているって事
でも
眠くなったちゃった…


遠くで声が聞こえる それはあたしを呼ぶ声
大好きな とても大好きなママの声
優しい女神さまっの声なんだ。


「マリー マリアー どこにいるの?」



  7月の雨 


by belldan Goddess Life.