負けず嫌いのスール達

 わたくしの妹、祐巳も私に似て、とても負けず嫌いな所があると思う。

 祥子は、読んでいた本に飽きたのか、取り留めなく考えている。

 あの時も...


 クスッと思い出し笑い、それから本を閉じ、空になってたカップ

 紅茶を注いだ。

 あの子は…そう、戦わずして勝つ。そんな感じなのかな?

 またクスッと思い出し笑いをひとつ、そして

 私には無いものだわ、私は、今までずっと戦い続けて来たもの...

 祐巳の事を考えると、しっかりしなきゃ!って思う。

 でも、ごめんなさい、あまりお姉さまらしくないわね…

 
 
 祥子は、先代ロサ・キネンシスである姉の蓉子の事を思う。

 私も、お姉さまのように…なれるかしら?

 いいえ!そうなりたいの!


 お姉さま…そして祐巳、ふたりに出会えて、本当に良かった…。



 いつしかまどろみの中に

 それは安らぎ それは幸福


「あらあら…祥子さんったら♪」

 清子さん、ドアをノックしても返事が無いものだから

 そっと扉を開けて覗いて見れば

 優しい寝顔の娘の顔に とても満足げに微笑み

 ベッドの脇に掛けてあったガウンを 肩にかけたのだった。