追想の調べ

神々の黄昏…って言うか、女神さまっの黄昏…


 またひとつ女神さまっサイトさんが消失した模様
実に遣る瀬無い気持ちでいっぱいです...
諸行無常、これはこの世の常なのですが、それにしても
愛着があった分だけ、気持ちは複雑です。


諸々の行いは流転し、栄枯盛衰する歴史があるからこそ
この世界は進化し続けて行ったとも言えましょう
ですが、その中において変わらない事柄もあったのも事実
その時々の世界の常識すら凌駕する事柄もあったと思います。


川の流れに浮かんでは消えていく木の葉のように
流れ流され生きて行くような人生の中にも
光り輝くものもあるのですね。


もしかしたら、それが想い出と言う物なのかもしれません
今までありがとう これからの未来に幸多かれ と願うばかりです。



 

 *** *** *** ***



古びた五線譜のノート、弾き始めたギターの為に
買ってあったものだ
紐解くと、昔自分が作曲した歌が書いてある
それはとても懐かしく、そしてちょっぴり照れ臭いものでもある
「どれ…」
と押入れの奥にしまって置いたギター・ケースを取り出し
ケースを開けてみる
かなり長い間、放って置いたものだから、ちょっとカビくさいな
それでも、あの頃の事や、今では笑い話にもならない位の事とか
思い出して苦笑い
弦はちょっと古くなっていたが、でもこれ位なら例の手で生き返るか…


厨に行く、鍋にお湯を沸かし、ギターから外した弦の束を煮る
これでほんの少しだけど、弦は生き帰るはずだから


「螢一さん?」
その不思議な作業に、ベルダンディーは何かお料理でも、と
思った
「あ、ベルダンディー 実はさ…」
事の次第を説明すると、彼女はとても驚いたようで
「それはすごいですね!」
と目をクリクリさせて、驚いていた


煮出した弦を取り出し、水気を取って、少しグリスを吹きかける
それからギターに張り直した
「上手く行くはずだから」
慎重に調弦をし、何とか元通りとは行かないまでも、それでも
ピンと張り詰めた弦を弾くと、とても良い音がして
嬉しくなった。


「聞いてみたいです♪」と言うベルダンディー
でもその前に、やるべき事がある
そう、練習だ…
日が暮れるまで待ってて、と彼女に告げ、自分の部屋に戻る
これからが勝負だ、ちゃんと音が出るのは言うまでも無く
上手く演奏できるかが問題なのだから




夕暮れ時、お寺の境内にギターの調べが響く
それはとても新鮮で、そして懐かしくて、ちょっぴり切ない
淡い恋の歌だったかもしれない...



 追想の調べ 二短調  by belldan Goddess Life.