ああっ休みも終わりだっ

ああっ今日は良い天気だ...


 黒ネコは、これ以上ない位の大口を開けて
あくびをひとつ、またひとつ…
それから見繕いをし、やおら立ち上がって
日々のルーティンでもある巡回に赴くのだった。

「ネコの習性にも、こちらの風習にも慣れたなぁ…」
そんなため息交じりの台詞をつくのは
以前1級魔であった、ヴェルスパーだ。

タブレット制度のおかげで、生死の難は去ったものの
それでも、こうして最愛の者と暮らしを共にするのは
やぶさかではない…そう感じていた。


いつもの巡回ルートを一通り回り、何も変化無しを
確認、それはいつもの事だがホッとした彼(メスですが)だった
最後は、堂々と正門から帰宅…それが慣わし…
その時である、そこに魔属の気配を感じたのだった。
「だ、だれだっ!」
まさか…あの方?いや、違う…あの方ならもっと…


「ちょっとちょっと!ヴェルスパー!」
「あ〜なんだ…マーラーか…」
いきなり緊張感が緩和してくる
「何の用だ?」
「あのさ〜実はさ〜協力してくれないか?」
「何に?誰のために?」


聞くとマーラーは、私を密偵として女神たちの
動向を逐一報告してほしいと言うのだった。
「却下だ…」
即座に返答すると
「まぁまぁ…ちゃんと報酬は約束するから」
と言って、大好きなネコ缶を見せ付ける


私の中のふたつの意思(ひとつはネコの本能だが)が
心の中で葛藤を繰り広げる
「…いや、しかし…だが…」
しかし、形態がネコである以上、本能には抗えない
私は、誘惑に負けてしまった…
「よかろう…ただし、報酬は前払いだぞ」


気前が良いのか、はたまた天然なのか
マーラーはネコ缶を「じゃあ前払いって事で」と
1ダース置いていった。
私はそれを戦利品として、意気揚々と銜えて
厨に向かう。そう、大好きなベルダンディー
缶を開けてもらう為にだ。


こうしてネコと魔属の契約は成立した…かのように
見えたが、マーラーには申し訳ないが
ネコなんぞと約束したところで、明日になれば
何もかも忘れてしまうのがオチだろう(苦笑)


マーラーの作戦は、始まる前に頓挫を余儀なくされた
しかし、それもいつもの事なのかのしれない(笑)



 ネコときまぐれとマーラー

 by belldan Goddess Life.