ああっ5月のナイトメアっ

見返り美人(女神)

やわらかな風
高い木々の上
通り抜け行く
たなびく髪に
振り向く御姿
麗しき女神の
憂いある顔に
心ここに在ず。


 *** *** *** ***


古い手紙が出てきた それはある5月の
晴れた日の事だ。
久しぶりに整理しようと 開けた箱の中
それは忘れられた記憶の断片なのだ。
とても静かな気持ちで とても落ち着いて
それを手にして 微笑む私がいるのは
それはきっと 女神さまっの慈愛だと
分かるのに少しも時間がかからない。


 *** *** *** ***


夜の帳が降りて来たらしい
時が過ぎるのを忘れる位に
没頭していた私を誰が責めよう
ふと窓を開けて 夜風を呼び込んで見た
風が薫る 季節の息吹がここまで
飛び込んで来たかのようだ。


このまま風に抱かれて 眠り込んで
どんな世界にも無い奇跡の時間に誘われ
それが現か幻か それとも夢の続きを
まだ見ているのか…
君が ほら 振り向いて 微笑みかける。


もしかして 夜の魔法使いが
私のベットに遣って来て
不思議な魔法を掛けたのだとしたら
空耳のように 聞こえる呼びかける声
その歌声
そのメロディ
その夢のような日々を...


 *** *** *** ***


「螢一さんっ…螢一さんっ!」
遠くから声がする…誰かが俺を呼ぶ声が…
「おはようございます♪螢一さんっ」


朝…その芳しい香りと、新鮮な光の中に
待ち受けていたのは、麗しい女神の微笑み
夢を見ていた…それもリアルな夢を
君に言うべきなのかどうか、それは分からない
だから俺は
「…おはよう、ベルダンディー!」
そう言って、いつものように朝の挨拶をする


君がいて 俺の居ない世界
俺がいて 君の居ない世界
そんな想像なんて とても出来ないと思ってた
いつか来る そんなに遠くない未来に
それは実現するかもしれないんだ…



 5月のナイトメア

by belldan Goddess life.