水の妖精 6

夢中で飛び出した、スクルドの小さな天使は
その小ささ故に、飛行距離はかなり制限されていた。
ゆえに行動範囲も狭く、他力本願寺までは、どう考えても
無謀な距離だ。
ノーブル・スカーレットは、ヴェルスパーの事を思い出した。
そう、彼には使い魔で、以前天使化もした彼女が…
”そう、ランツェちゃんがいたわっ!”
ノーブル・スカーレットは、それならここから近いと判断し
ジャンク屋の事務所を目指して、進んで行った。


ディー・ヴェスペ・デア・ブラウエン・ランツェ、使い魔の
名前だ。蒼き槍のススメバチ、と言う使い魔だが、名前が
長すぎて、もっぱら森里家ではランツェちゃんとか、ランとか
簡略されて呼ばれていた。
本来、天使と使い魔には相容れないものがあるのだが、そこは
森里家の家訓と言うべきか、あるいは奔放主義と言うべきか
割と自由に交友しているのが実状だ。


しばらく事の次第を懸案していたヴェルスパーだったが
なにせ猫だもので、くぁーと欠伸をしながら、ウトウトと
惰眠に精を出していた。
そばにいた仙太郎も、成り行きとは言え、事務所に軟禁状態と
言った感じで、退屈を持て余していた。
「しかしヒマだよね…なぁ、猫さん?」
「ウニャウニャ...」
会話が成立しているとは到底思えないが、それでも二人は
スクルドの事を気にしているのだった。


今まで安穏としていたヴェルスパーが、急に立ち上がった。
「ウニャッ!」
この感じは、ノーブルか…スクルドに何か問題が発生したのか
と訝った。それと同時に、彼の使い魔、ランツェも彼の背後
から、その姿を現したのだった。


「えっ?ええっー!」
その違和感を、感嘆するしか表現出来ない仙太郎は、何が
始まったのかを理解するには時間が足りない感じだ。
突然、猫の背後から現れた小さな女の子は、目を細めて
周囲を見渡すと、にっこりと仙太郎に微笑んだ。


”ボクに微笑んでいる…って、違うっ!”
仙太郎は、すぐさま後ろを振り返って見た。
事務所の扉、それは音も無く開いていて、そしてそこにも
小さな女の子が微笑んでこちらを見ていた。


天使と使い魔にはさまれた格好で、立ち尽くす仙太郎。
その違和感は、高確率で彼の最愛の人物の危機を表していた。



水の妖精 6


by belldan Goddess Life.


*** *** *** ***


だらだらと...そう言えば最近は、汗もダラダラとかかなく
なって来ましたね。季節の変わり目、こういう時は体調を
崩しやすいんですよね。(げぼげぼ)
真夏時よろしく、アイス食べて、冷たい飲み物ガブガブ飲んで
「お腹痛ぁー!」ってなるのは自業自得です(苦笑)


スクルド「あたしは大丈夫だもんっ」
螢一「そんな事言っているけど、突然来るんだよ」
スクルド「あたしを誰だと思っているのよっ!」
螢一「知ってるよ。スクルドだろ?」
スクルド「知ってんなら、黙っててっ!」
螢一「へいへい…」