そして次の日。


「はぁ〜」
聖鈴学園、中等部のあるクラスの窓側後方二番目の机につっぷして
マリアベルは溜息を付く。
昨日マーちゃんに聞いても分からなかった…後、誰に尋ねたら良いの?
魔界のヒルドさんに聞こうかしら?でも、ねぇ…
「どーしたの?マリアベルちゃん?」
母親譲りの黒髪をパッツンおかっぱにしたカレンが不思議そうに
マリアベルを覗き込んだ。
「あ、おはよう…」
どうにも元気がないマリアベルだった。


そんな事を他所に、件の転校生達にはたくさんの取巻きが出来ていて
その中には、小等部から仲の良かった小野寺君も居た。
男子達の中には「親衛隊を作ろうっ!」と息巻いている輩もいて
クラスは妙なテンションの渦中だった。
一部の女子たちは、それを訝しげに傍観していたのだが、一人また
一人とその輪に参入して行くのだった。
不思議な現象、まるでアイドル達が降臨して来て、可憐なスマイルと
可愛い声で皆を虜にしているようだ。
「マミちゃ〜ん、可愛い〜!」
「アミちゃんも可憐だよ〜!」
そんな黄色い声援を受けて、彼女たちは同じように返事をする。
「「うふふ〜ん、ありがとー!」」 と声を揃えて。


「はぁ〜」
そんな光景を見ても、すでに対抗する気力も無くなって来た。
そんな折、カレンがふと呟いた言葉が妙に引っ掛かった。


「ねぇ、マリアベルちゃん?不思議だよね?どうして彼女たちって
おんなじ反応ばかりするんだろーね?」
同じ反応?…それはまるで誰かが何処かで書いたシナリオをような
そんな感じがした。
「んん〜と、何て言うんだろうね…テンプレ?とか?」
うまく言葉が出て来ないカレンを見て、マリアベルは閃いた。


「分かったわ!これは多分…」
「えっ?えっ?何が分かったの?マリアベルちゃん?」
「カレンちゃん!ちょっと聞いてほしいの!」
ふたりは騒然としている教室から、こっそり廊下へ出た。


「ど、どうしたの〜?」
不安げなカレンは、これから始まる事態に緊張感を隠せないでいた。
「カレンちゃん!行くよ!」
廊下に法術を展開したマリアベルは、そこに空間移動用のゲートを
構築した。
「ええ〜!ど、どこに?」
「ちゃんと付いて来てよねっ!」
そう言うとふたりの姿は空間に消えてしまった。



なぞの転校生 (抜粋の 5)


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


なんだなんだ…なんでもねーよ。