3月の風景

ふぅ…風邪なのか花粉症なのか分からんが、とにかく頭痛が酷いヨ。



朝起きて、そう言えば深夜にひどい寝汗をかいて何度も起きた事を
思い出した。
「へーくしょん!」とくしゃみを2回程して、こりゃ完全に逝ったなと
思ったのよ。
布団のそばには昨夜着替えたTシャツが、まだ汗の残像を残したままで
それを見ると、また頭が痛くなって来た。
起き出して、取りあえず着ていた服を脱ぎ、新しいTシャツに着替えて
それからネルシャツに袖を通した。ジーンズを履き、靴下を履いて
部屋から出て、みんなのティールームに向かった。
ベルダンディー? あ、そうか…」
そう言えば彼女、天上界の研修がどうとか言っていたんだ。
もちろん彼女が研修する訳ではなくて、教える立場なのだが。
「1級神って、忙しいんだな…」 溜息と共に出た呟きが切ない。


薬は…たしかこの引き出しに入っていたはずだ、と螢一はおもむろに
引き出しを開ける。 しかしそこには薬は無かった。
「ありゃ?勘違いだったかなぁ?」
物覚えが悪くなったのか、それとも初めから無かったのか分からないが
無いものは仕方ない。 そうなると後、考えられるのはウルドの部屋
位なものか…
とは言うものの、ウルドの部屋にある薬なんて、怖くて飲めない。
「仕方ない…買出しに行くか」
いったん部屋に戻って、バイクの鍵を探した。
しかし面白い事に、そんな時って必ず必要な物は見付からない。
「あれ?たしか、いつもの所に置いたんだが…」
その後、ありとあらゆる場所を探したのだが、これまた見付からない。


そして益々頭が痛くなって来た。


何か無いのか、と考えを巡らせても、頭痛しているので辛いし、何も
良いアイディアが浮かばない。
仕方ないので、もう一度部屋に敷きっぱなしの布団に滑り込むが
これまた昨夜の汗で、シーツがぐっしょりしている。
「この状況を、あえて言葉にするなら…四面楚歌かな?」
我ながら何を言っているんだ、と苦笑するが、一向に頭痛は治らない。
当たり前の話だ。


そうだ、気合だ! と思い付いたものの、体に力なんぞ入らんわ。
ならば、癒しの法術だ! と思うのだが、遺憾せん俺はただの人間だ。
下手な考え休むに似たり…まさに、それをそのまま実践中だった。


ヨロヨロと濡れたシーツをはがし、大き目のタオルケットを敷いて
その上に横になって、かけ布団をかぶって寝る事にした。
むろん服は着たままだ。 こうして横になってじっとしている事が
自然治癒だと悟った。
思えば自然界の動物達は、こんな風にして身体を癒したんだろうな。
やはり自然は偉大だよな、とか色々思っていたら瞼が重くなり
そのまま眠ってしまった。


夢を見た。
それはとても悲しい夢だった。
「さようなら 螢一さんっ」 その麗しい声は、今では胸が張り裂け
そうなくらい切ない声として耳に届いた。
俺は必死になって足掻いて、この状況を打破しようと躍起になってる。
しかし声も、そして手も足も出ない様相に、自身がイライラしていた。
ベルダンディー! 声にもならない声で、必死に抵抗しようとする。
やがてその光は、空高く消えて行ってしまった。


ベルダンディー!!」
宙をもがく様にして手を挙げた所で、目が覚めた。
また酷い汗をかいていた。 枕元に置いてあるタオルで汗をぬぐう。
「はぁはぁはぁ…何て酷い夢だ」
上半身を起こして、汗でぐっしょり濡れた服を脱ぎ、新しいTシャツに
着替えた。
それから台所へ向かい、水を一杯飲んだ。
「ふぅ…」
でも、何だかさっきの寝汗で、少しだけ状況が良くなった気がした。
「体の熱が出て行ってくれたのかな?」
そう思った。 思えば思うほど、頭痛もしなくなった。


ベルダンディー達が帰ってくるのは、明日だし、それまでには何とか
治しておかないとな。
それと…汗で濡れたシーツやら何やらも洗濯しなくちゃ。


3月の風景。


by belldan Goddess Life.


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そんな訳で、体調を崩しておりました(ry