なぞの転

ゲームに興じているウルド姉さまと、なぞの転校生…この間にどんな
秘密があると云うのかしら…


「で、でも…どうやって解決するの?マリアベルちゃん…」
カレンは恐る恐るマリアベルに尋ねる。
「話は簡単だわっ! さあ行くわよっ!」
マリアベルは法術を展開して、自身とカレンの洋装を変えてしまった。


「こ、これは…」
「そ、ステージ衣装ってヤツよ!」
カラフルなステージ衣装を身に纏った、ふたりのアイドルの出来上がり
と言う訳である。
「でもぉ…これじゃあ見えちゃうよぉ…」
短すぎるスカートの裾を気にしながらカレンは涙目だ。
「大丈夫だって!だってパンツじゃないもんっ!」
パンツじゃないって、何? それって下着じゃないって事なの?
「さぁ、行くわよっ」
マリアベルはどこから出してきたのか、マイクをカレンにも手渡した。
「もちろん、スクルド姉さま謹製の『歌って君23号』よっ!」
スクルドが製作したカラオケマシーンも登場して、辺りはちょっとした
ライブ会場の様を呈している。


でも、23号って言う事は…試作品が22個あったって事なのよね、と
カレンは思った。 大丈夫かしら…でも、どうして歌なの?


「いっくよー! マリカレのデビュー曲『ときめきサンシャイン』!」
マリアベルは右手を高々く差し上げ、ウインクを決める。
慌ててカレンも着いて行くのだが、上手く決められない。
それに…こんな歌初めて聞いたし、振りもダンスも初めてだもん、と
これまた涙目になるカレンであった。


そんなこんなで一曲歌い終わって、状況を確認するマリアベル
「どう?」
「どうって…その、何も変わらないけど…」
「あれ?」
「あのあの…マリアベルちゃん…ちょっと聞きたいんだけど…」
「何?」
「あのね、どうして歌なの?それにダンスも…」


マリアベルは仁王立ちになり、威風堂々として言った。
「目には目を、歯には歯を! よっ!」
ええと、言い換えると…真っ向勝負って事なの?とカレンは考える。
それにしても、成果は上がらない。と言うか、何も変化は無い。
この状況は非常に不利だ。
「マリアベルちゃん…一旦作戦を練り直さない? そうしないと…」
「うーん…そうだ!『スペルブースター』が必要かも?」
一向に話を聞かないマリアベルだった。


この状態では、ただの悪ふざけに過ぎない。
何か作戦を立てないと…そうだわっ! あの方に相談してみましょう。
カレンは更なる法術を展開させようとしているマリアベルに向かって
「マリアベルちゃん! このままではダメだよっ あたし、あの方に
相談して来るねっ」 と真剣な眼差しで言った。


あの方…そう、マリアベルも恐れる、あの方だ(笑)



なぞの転校生 (抜粋の 7)


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


「そんな事言ったらウルド姉さまなんていつも…」