会いたいね。

読み終わった本を閉じた森里恵は、うつぶせになってた姿勢を
仰向けに変えて、ぼんやりと天井を見つめた。
そろそろ梅雨もあけ、夏の予感がする。
朝早くからの蝉時雨に、眠たい目をこすりながら起き出す日々は
悪くない、むしろ大歓迎なのだが。


「暑い…」
彼女の住む部屋にはエアコンが設備されてない。
このまま部屋にいても蒸し焼きになるのが関の山だ。
「螢ちゃん家にでも行こうかなぁ」
あの小高い丘にあるお寺の母屋は、エアコンも無いのに涼しいのだ。
「風通しが良いから、かもね」
そんな独り言を言いながら、課題や読みかけの本をディパックに
詰め込み準備をする。
卸したてのTシャツに袖を通すと、なぜか気持ちが良い。
「よっし、出来た」
準備万端整えたら、愛車の待つバイク置き場へレッツゴーだ。


出しなに自室の郵便受けを見る。
相変わらずのDM、そしていつものラブレターだ。
「古風なヤツ…」
携帯にメールすればいいじゃん、と森里恵は思う。
ちょっと螢ちゃんに似ている、そんな男の子の事を思い返す。
「あたしってば、ブラコン?」
な、訳ないよねぇ、と苦笑い。


愛車に火を入れる。一発でかかる子気味よいエンジン。
整備には自信があるが、ワールウインドでも念入りにチェックもする。
大事なバイクだ。


このバイクで、いつもいつも追いかけている影がある。
どうやっても届かない思いのように、いつも先に在るもの。
気紛れな風が短い髪をなでていく。
「わぁ気持ちいい〜」
よっし、とメットを被って出発進行だ。


螢ちゃん何してるかな?
ベルダンディーに迷惑、かけてないかな?
あの姉妹たち、楽しげにしているかな?
はやく会いたいな。


はやく 会いたいね。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


マジ更新、大遅刻って言うか、スミマセン。
そろそろ夏本番、太陽に恋しよう!(ってね)