卯花月

エイプリルフールディの事を知ったのは、某TVの
バラエティ番組を見たからなのであるが、それにしても
女神ウルドの瞳は、神々しいほど輝きを増していた。
「これだわっ!」
何がコレなのか分からないが、それでも女神ウルドは
溌剌として、みんなのティールームから出て行った。


エイプリルフールディ。
それは西洋にあるひとつのイベントだった。
4月1日は、ウソをついても良い日として人々は、
親愛を篭めて親しい者に他愛のないウソを付いて楽しむ。
無論、全世界共通のイベントではないので、これを厳しく
制している国もある。


うららかな気候の4月1日。ウルドはまずスクルドを捉まえ
事の次第を話する。
「と、言う訳で、今日はウソを付いても良い日なの」
「何を言っているのか、さっぱり分からないわ ウルド」
と言うか、日頃からウソばっかりついているウルドの事なんか
信用出来る訳がないじゃない、とスクルドは訝るのだった。
「つまんない娘ねぇ・・・」
ヤレヤレと言った面持ちで、スクルドの元を後にしたウルドは
庭で洗濯物を干してるベルダンディーを見付けた。
「あら、姉さん」
「はぁ〜い、今日は雨模様ねぇ」
晴天の空を見詰めて、ウルドは涼しげに呟く。
「えっ? 姉さん?今日はこんなに…」
「ウソよっ」 と無邪気に笑って見せたウルドは
「今日は何の日か知ってる?」とベルダンディーに尋ねた。
「今日、ですか…何でしょうか?」
不思議そうにウルドに尋ねるベルダンディーだった。


ウルドは、先程スクルドにも話をした事を告げると
「まぁ!でも…ウソは駄目ですよ姉さん」
と、ウルドを制するベルダンディーだったが、ウルドの話を
聞いて、少し気持ちが揺れてきたようだった。


「今日ついたウソってのは、本当はまったく逆の意味でもある
のよね。だってそうでしょ?例えばベルダンディーが、
『螢一さんっの事がキライですっ』って言えば、その真意は
まったく逆で、『螢一さんっの事が好きですっ』になるじゃない?」


「…そうなんですか?」
「そうよ!」
「姉さんがそう言うなら…」


そんな訳で試してみたベルダンディーだったが、事態は散々な
結果となり、修復するのに大変だった事を述べておこう。
ウルドは怒られるが嫌で、どこかに隠れてしまった。


しかし、それが発端となり、ふたりの甘いムードは加速して行く。
ちょっとワイルドになった螢一に、さらに惚れてしまった
ベルダンディーだった。


「結果オーライよねっ」
母屋の屋根の上で、更に愛を育むふたりを覗き…見詰めながら
自称:恋のキューピッドはニンマリと笑みを浮かべるのだった。


花月


by belldan Goddess Life.


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色々お休み。 う…卯は、ウルドのう!