天上界の恋人9.

天上界の恋人9.


「あら、いらっしゃ〜い」


そんな軽やかな声と笑顔に出迎えられて、少々拍子抜けした
ペイオースだった。先程の別空間、異空間は何だったのかしら、と
首を傾げるのだが、とにかく気になる事が先行するのだった。
玄関先で笑顔のベルダンディーに「ちょっとよろしくて?」と断り
ふたりは庭先へと向かった。
母屋の庭には、枝振りがきれいな桜の樹がひとつある。
ふたりはその桜の樹の下へと歩いて行った。
時折風が吹いて、桜色の花びらがヒラヒラと舞い上がる。
その下に麗しい乙女・・・ではなく、女神さまっがふたり佇んでいる。
さながら優れた絵画のような雰囲気の中で、静かに見詰め合う姿は
ここが地上界ではないのではないか、と思わせた。


ベルダンディーさん、聞きたい事があるのだけど」
「なぁに?ペイオース」
「あ、あの・・・その・・・最近、森里さんと・・・」
「螢一さんっと?」
「・・・こほん、その・・・した?」
「した?とは?」


ベルダンディーは不思議に思って、ペイオースを見詰める。


「・・・あ、あら・・・だって、その・・・子供がいるじゃない?」
「ええ、いるわよ」
「それ御覧なさい!原因があって結果がある・・・分かってますわよね
その・・・つまり、あなた達は、そういう事をしたって事になるわね」
「そういう事?」
相変わらず天然と言うか何と言うか、こう話をはぐらかしてくれて
今更って感じですわ、とペイオースは少々憤慨した。
「隠しても無駄ですわっ!こちらに子供がいるんでしょ!」


ベルダンディーは少し考えて「ああ」と手を叩いた。
「バルドの事ですね!ええ、居ますよ」
とにこやかに返答した。


桜舞い散る樹の下で、可憐な女神さまっ達は、こんな話をしていた。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


待たせた割には何だかな・・・春爛漫。