ああっ女神さまっ+

「君と出会ったのは、ただの偶然じゃない」とか何とか、
そんな事を思考しながら歩く冬の河川敷に吹く風は冷たく、
買ったばかりのベンチコートのフードを被り、少し俯き加減に
歩いていた。
あの日、そうクリスマスイブの夜に久方ぶりに川西家を訪問して
そつなくパーティに参加して、ごく普通に時間が経過して、
そして俺は家路についた日の事を思い返していた。


「君に、その覚悟はあるのか?」
凛とした女性が俺に尋ねた。
意味わかんぇ〜って感じだったけど、今でもそうだけど、
だけど…覚悟って言葉の中に深い核心が隠されているような気が
する。


あの日は…


「お邪魔しま〜す」
マリアベルから以前言われていたプレゼントをひとつ買って来い
との約束の為、集合時間ギリギリだったのは言うまでもないが、
それにしても鬼の形相で「遅いっ!」とは心外だなと思う。
「すみません、道が混んでいたもので…」との言い訳はまるで
新人サラリーマンのようで、我ながら辟易していると
「あははー!面白いソレ!」と、なぜか爆笑する彼女の屈託ない
笑顔にこちらもつられしまって。


部屋の中には川西のおじさん、おばさん、そしてマリアベル
見慣れない顔も居た。
銀髪の凛とした、それはまるで女騎士のような女性と、なにか
とても妖艶で肌の露出の多い衣服を纏った黒髪の女の人が居た。
「今日はね、天界からお客さまっも来てくれたのよね!」
マリアベルはごきげんだった。
「展開?転回?それはそれはだねぇ〜?」
そんな土地名あったかしら?と俺は訝る。


宴も終わりに近づく頃、女騎士のような女性に言われたのだった。


「君に、その覚悟はあるのか?」


そうさ、可能性はいくらだってある。選択肢はいつだって無限だ。
だけど何を?そう、なんの覚悟なんだろうと俺は考える。


多分、これは運命なんだ…


 ああっ女神さまっ


by belldan Goddess Life.