ああっ女神さまっ+

クリスマスなんて縁が無い。そう思っている男子生徒は多分、
星の数ほどいるんだと思う。それなのにクラスメイト達は口々に
言う。「俺…約束があるんだわ」とか「ちょっとヤボ用でな」
とかニヤニヤ画像満載で言っている。
ああ、これも時節の成せる業なのか、と訝しむ俺は何だろうとも
思う。ちょっと退廃的な感覚、言っとくけど中二病とかじゃ無い
んだからねっ!


あの娘…そう、仙太郎おじさん家に居候している留学生の娘は
何時の間にかクラスに溶け込んでいるし、何でも幼馴染な女子も
別のクラスに在籍しているらしい。らしいって言うのはただ仄聞
しただけなんだけど、黒髪おかっぱの物静かな清楚な少女、と
言ったイメージだった。


なんだ、見に行ったんだ、とか言うなよ。


見に行ったんだから。


学期末テストも近づく今日この頃なのだが、クラスの話題は
俄然クリスマスを誰と、どう過ごすかに焦点が当たっている。


「よう、ユウ…テスト勉強は進んだか?」
「えっ?何それ?美味しいの?」
「そんな事より俺たちだけでパーティしようぜ!」
「男だけでかよ〜マジでカンベンな」


そんなホント、すごく平凡で怠惰な日常に埋没しながら暮らす
俺って言う存在は、そのまんま平凡な男子高校生なんだと
心の底から思う。あ〜あ。


転校初日から数日は俺も何だかんだとあの娘の世話をしていた。
とは言っても有体の案内とか、そんな感じ。
数週間後、幼馴染とか、クラスの女子達に中に自然に溶け込んで
行ったのはさすがにすごいと思った。


これが女子力ってヤツなのか?


違うか。


ある日の事。
唐突にマリアベルが話し掛けて来た。実に久しぶりに。


「ねぇユウくん…クリスマスって何か用事あるの?」
「・・・別に・・・無いけど」
ああ、言ってやりたいね、本当は引っ張りだこで皆から
パーティの誘いがあるんだって。


ホント、無いんだけど。


「あのね、スクルドおば…姉さんがね、クリスマスパーティを
皆でしましょうって!」
「ふ〜ん、そうなんだ」
「何か乗り気じゃないわねぇ…でも、来るでしょ?」
「・・・うん」
「じゃキマリ」
イブは空けといてね〜、とマリアベルは女子達の輪の中に
消えて行った。


バカヤローちょっと期待するじゃねぇか!と思ってしまう。
はっ!イカイカン、過度な期待は厳禁だって!と
禁欲的な宗教家みたいになるのは多分、ニヤケ顔を悟られない
としての防御なのだった。



ああっ女神さまっ


by belldan Goddess Life.