森里家の日常8

  [この世界には、神様と悪魔とかわいい女の子しか
居なかった…。]


「はぅ〜」
だとすると、かわいい女の子ってあたしの事だよね。
スクルドは愛読書の『どぼん』を閉じ溜息をつく。
あ、でもでも、あたしってば神属だから神様の部類だ。
だとすると、仙太郎君は…悪魔?魔属?それはちょっと
有り得ないわ。


そうしたら、残りは…女の子?いやいや、男の娘?
えー!


「はぅ〜」


自室をゴロゴロと横になって、ああでもないこうでもない
と思考は拡散するばかりである。


[神様は云った『私の言葉を聞け』悪魔も云う『ならば、
私の言葉も聞け』そして女の子も『だったら私の…』]



えーと、何ていうかなーウルドっぽい性格の登場人物
ばかりなんだよねー。人の話は聞かないし。



[ある日、女の子は野に咲く花を見た。微風に揺られて
可憐な花弁をゆらすその様に優しさを感じて。
『私…優しくなりたい!』と、そう強く思うのだった]



やっぱりコレ!まさにあたし!まさしくあたしが女の子
のポジションじゃないの!


[神様は云う『私の話を聞け』悪魔も云う『ならば私の話
も聞け』そして女の子は『大丈夫、皆の話を聞きましょう』
そう確かに告げた。穏やかな瞳で]


ああんもう!まさにまさにあたし!あたしの真実の姿が
ここにあるのよ!


さらに思考が加速する!もちろん幸せも加速する!


そんな訳で。


「ウルド!」
ノックもせずにウルドの部屋に殴り込みをかけるような
そんな感じでスクルド
「ちょっと聞いてほしい事があるの!」


大好きな銘酒『男坂』に舌鼓を打っていたウルドは、
また藪から棒ね〜と溜息を付くが、そこは姉の貫禄で
「どうしたの?お腹でも痛いの?」と曖昧な返答を
返すと
「違うわよー!重大発表なのよー!」とスクルド
「へぇ、そうなの」
「そうなのー!」
「で?」
「ちゃんと聞いてね」
「はいはい」


「あたし、神属辞めて普通の女の子になります!」
「了承」
「え?早くない?」
「了承」
「あ、あれ?」
「了承したから帰っていいわよ」
「あ、うん…」


頭の上にハテナマークをたくさん付けてスクルドは部屋を
出て行った。


「ふぅ」
アレよね、何か雑誌とかTVで見たアイドルの卒業イベント
なんかに影響されたみたいね。
まぁ、何にせよ、忙しいと言うか騒がしい我が妹よね。



そんな森里家の日常。


つづく。


by belldan Goddess LIfe.


*** *** ***


楽しそうで何よりだ。