森里家の日常9

季節の変わり目に降る雨はいつだって
豊穣を約束してくれているかのようだ。
何時も翼を休めるこの場所も、雨音に
静かに佇んでいた。
広い境内の傍らに平屋の母屋があって
そこには縁側で語らう人々の声があり
騒々しい時も柔らかな時も主たちは
とても楽しそうに暮らしている。


雨音だけが支配している庭の小枝に
そっと足を休めて縁側の方を見る。
今日は静かだ。


あの麗しくもお酒が好きな銀髪の方も
どこかに夢見るような可憐な黒髪も
清らなかな亜麻色の髪の乙女
その姿を見せてはくれない。


時折、家の中から物音がするが、それが
何かは分からないけど。
それはきっとあの方達の音だと思う。


わたしはここにいるよ
あなたはどこにいるの


こえがきこえる
きこえそうなきがする
いつかのときのなかで
いつもきいていたこえ


あなたはここにいるよ
わたしはどこにいるの


雨音に風がまじってあの山の
彼方へと昇っていく。
そろそろ雨も止みそうだ。
またここに翼を休めにくるから、
その時は一緒に歌をうたって。


by belldan Goddess LIfe.


*** *** ***


わーバイクにカバーしとかなきゃ!と螢一は
慌てて裏のバイク置き場に向かうのだった。