女神さまっのクリスマス

[女神さまっのクリスマス]第一部「スクルドの冬休み」






寒くなったから、とお姉さんに貰ったコート
それがすごく可愛くて、どうしても外へ出たかった。

スクルドは、何時も以上に満面の笑みで
そこだけ春が訪れてきた…そんな感じだった。

「似合う?ねぇ、似合う?」
「ええ、とっても可愛いわよ♪スクルド♪」

ホント?わぁ〜♪と、くるりと回って
「嬉しいっ!おねえさまぁ〜!ありがとうっ!」


 
 冬のある日の午後 森里家の居間で


暖を取るための石油ストーブの上には、シュンシュン音を立てる
ケトルが踊る

少し隙間風が入っては来るが、そこだけは暖かいのは
きっとおねえさまの気持ちなのね。とスクルドは思った。

今夜はお鍋にしましょうと、ベルダンディーが言うものだから
「じゃ、じゃあ、あたしも一緒にお買い物に行くっ!」

と、スクルドは元気いっぱいに言う。

「あら♪お手伝いしてくれるの?嬉しいわ♪」
そう言って、にっこり笑うベルダンディー
彼女の腕を掴んで
「うん!あたし、お手伝いするよ!」
と、とても大きな声でスクルドは答えた。



そんな訳で、ふたりは猫実商店街に出かける事となった。


逸る気持ちは隠せない…スクルドは、我先にと玄関口へ行く
「早く、早く〜!」
「そんなにあわてないで、スクルドったら♪」

この可愛いコートに合う靴は、と...どれにしようか迷っちゃうなぁ
「う〜」
急ぐ気持ちはそのままだけど、どうしてもコレと言った物が無い
「あら?どうしたの?ああ...」
お靴が決まらないのね。とベルダンディー
「これなんか、どうかしら?」
それはコートの色とお揃いになるオレンジのブーツだった。


え?どこにあったの?それ…

何の事は無い、ベルダンディーがさっと法術で出しただけでした。

「うわぁ〜!お揃いなのぉ〜!嬉しいっ!」
「ええ、そうよ♪」

それはとても鮮やかなオレンジのスエードのブーツだった。
暖かい色ね…うん!

可愛いコートと可愛いブーツ、可愛いあたしと、ステキなお姉さま♪
この幸せを、誰かにおすそ分けしたいわぁ、とスクルドは思う。

でも、独り占めもしたいと同時に思っちゃう訳でもあるが...

「さぁ、行きましょうか」
玄関の戸締りをして、先に出ていたスクルド
「あ、ちょっと待ってスクルド
そう言って、ベルダンディーは自分が付けていたマフラーを外し
彼女の首に巻いてあげた。

「お、おねえさま?」
「私は良いのよ、これがあるから♪」
買い物籠からもうひとつ、それは螢一のマフラーだった。

もっともそれも、ベルダンディーが編んだマフラーなのだが
「あ、それ…」
そのマフラーは、ふたりがワール・ウインドへ出勤する時に
螢一が付けているマフラーで、色違いでベルダンディー
持っているものだった。

だが今、彼女が手にしている物は、紛れも無い螢一の物…
だって、色が地味だもん…と、スクルドは思った。


でも、おねえさま…とっても幸せそう...。




さて、猫実商店街に着いたふたりだが、そこで思わぬものを見てしまう



「あら?あれは…仙太郎君かしら?」
ベルダンディーは、スクルドに向かって言うと
ちょうど曲がり角に向かう男の子を指差した。

「え?おねえさま…何?」
指差された方を見ると、それは確かに仙太郎だった

しかし、その横にいるのは…
え?誰?誰かしら?とスクルドはじっと見つめる

「女の子と一緒だったわね、お友達かしら?」
知っている娘なの?とスクルドに問うと

「え…あのぅ...」
答えに窮するスクルド

誰なの?あの娘…分からない…誰なの?


もうすぐクリスマスって言うのに、スクルドの運命や如何に...



[女神さまっのクリスマス] 続く(苦笑)









さて、突然始まったクリスマス企画[女神さまっのクリスマス]
企画倒れにならぬように、女神さまっに祈るばかりです(爆)


ここに来られる酔狂な方も、どうか祈ってやってください(苦笑