その後のその後...

ワルキューレ リンド♪

 緩やかに傾斜する坂を、バイクが走ってくる

BMWの古い型だ

R-50にサイドカーを取り付けている

ライダーは、少し悲しそうに笑っていた。


   これはもうひとつのエピソード、あるいはまた
   別の世界の出来事なのか…





 これをデジャヴュとでも言えばよいのか
人類の歴史から比べるまでも無く、我々神族の
歴史は、悠久の時間を奏でていると言うのに

もしかしたら、かつて私が過去に出会った勇者たちの
面影を彼に見てしまうのか?

遥かなる望郷…郷愁とでも言えばよいのか
だがしかし、まったく記憶が無いとはどう言う訳なのか?


そこは任務で赴いた場所から、時間にして数時間
地上時間に置き換えると、わずか数日って所だろう

だが私は、どうしてもそこに惹かれるのだ
その理由を知りたいと思った。

この任務が終われば、休暇が取れるから
その時にでも調べておこうと考えた。


サウタージ 郷愁ってものが、我々女神にとっても
在りえるものだ。

謎を謎のままにして置くのは、どうしても性に合わない

だから私は、彼に聞きたいと思った

「君は…何者だ?」と。



リンドの休暇が取れたのは、それから数時間後
地上時間にして、2日が過ぎていた。


天上界のゲートが開く 銀色の光が真っ直ぐに
地上に降臨して行く。

地上の人間に、その姿を悟られぬように
剛には郷に従え、その姿を地上界に倣った。


小高い丘にある、清楚な佇まいのお寺の境内に
彼女はやって来たのだった。


「ここは、とても静かだな...」


ゆっくりと境内を散策し、いつぞや見かけた
あのバイク乗りの彼には、会えるのかと思案してた所
例のバイクの排気音が遠くから聞こえて来る


「ん、間違いなかった。ここに来れば会えると思った」


寺の正門から、バイクの音がする方角を見やる
やがて音の正体が、姿を現して来た。


森里螢一が乗ったBMWが、近づいて来るのだった...




 また続く(笑



 これはリンド編…って言うか、リンドだったら
一体どんな行動を取るだろうか?と思ってね。