小さな羽

このお話は、アナザーストーリー。


これもまた「ああっ女神さまっ」の世界観かもしれません



さて、劇場版に登場したセレスティンはその後
どうなったのか?あのまま姿を消してしまって
その存在までも消去してしまったのか...


元来の正義心とも言うべき思いから
師弟関係であったベルダンディーの力を用いて
この世界を理想郷とすべく立ち上がった彼だが
結論から言って、その方法論には間違いがあった。

さらに言えば、己心の魔とも言うべきものの存在も否定できず
彼は幽閉される身となった訳だ。


さて、アナザーワールドでのお話。

森里家に待望の娘が生まれた話は「LIFE」4作品を参照
その子の名をマリアベルと名づけたのは母ベルダンディーだった


舞台には劇場版に登場したモルガンの娘カレンも登場する。
詳細は、先ほど述べた「LIFE」を参照してください。






 LIFE Ex


流れる時間を越えて 私はここにいる
あの星(地球)に 思いをよせて...


私の正義は正しくなかった 多くの人々を幸福にしたい
という思いは、この正義感を通してすり替えられ
私の強い欲求(自我)となっていたようだ。


いつの世も、力で勝ち取れば、力で滅びる...
歴史は雄弁に語っている。


わたしはかつての教え子から学んだ
人々を幸福にするという事は、お互いを結びつけ 
愛し、生かし、許しあう事なのだと。


今はこの静寂がうれしい…


月から見る美しい星(地球)には
そんな素晴らしい愛情が、満ち溢れていた。



ユグドラシルからの使者 女神フレイとフレイアが
彼の元へとやって来た
もちろん主神の使いである。


その神託は、新しいノルンの娘への教育係だ
「かなりの時間が経過し、反省も進んだようだ」
そんな主神の慈悲の思いからなのか、彼にもう一度
チャンスがめぐって来たのだった。


彼は厳粛な思いで、それを拝受したのだった。


姿を女神に変えたのは、それまでの経過を考えれば
妥当だと言えよう。だが、彼の任はあまりにも

重すぎたとも言えた。


そして、ふたりの使いとセレスティンは地上に降臨する
のだった…




そんな折、モルガンは娘カレンを連れて森里家へ訪問
していた。
「こんにちは、おじゃまします」


カレンが生まれて、ちょうど3年が過ぎ、マリアは4年が過ぎていた


春のある日…


「まぁ、久しぶりね、いらっしゃい♪」
にこやかに微笑み、二人を迎え入れたベルダンディー
彼女の後ろに隠れていたマリアベル
「マリー、カレンちゃんが遊びに来てくれたわよ」
そう言って、彼女の背中をポンと押す

「こ、こんにちは〜カレンちゃん...」

「うん…こんにちは、マリーちゃん…」

でもやがては、お互いの手を差し伸べて
「あっちで遊びましょ〜!」
となるのだが…


マリアベルとカレンは、手をつないで本堂の周り探検する
後ろにばんぺい君RXを従えて
「ねぇ、ばんぺい君?ママのマネやって!」
マリアベルがそう言うと、ばんぺい君は右腕を空に差し上げ
「Pi」と一言言うと、周辺にいた雀たちが彼の周りに集まった

「わぁ〜!しゅごいです!」
カレンは驚いて、喜んだ
「ねぇ?ばんぺい君も鳥さんとお話できるのかなぁ?」

「それはわかりましぇん…」
マリアベルはそう答えて、笑う。


ふたりは、ぐるぐるあたりを徘徊します。


「あっ!お花っ!」
「あっ!お花〜!」
ふたりは境内に咲く、小さな花を見つけました

「かわいいでしゅねぇ〜」
「かわいいでしゅ〜」
小さなふたりは、さらに小さくなってその花を見つめ続けました


時折、風が吹いてふたりの鼻腔を花の香りがくすぐります
うっとり佇むふたり…


「ママにも見せてあげたいなぁ」
「見せてあげたいなぁ」
二人は声をそろえて言いました。


花を摘んでふたりは、大急ぎでママの元へ
ばんぺい君も、ふたりの後を追います。


「ママ〜!見てみてっ!お花っ!」
「お花〜!」
縁側でおしゃべりしていた、ベルダンディーとモルガン
子育ての話題で、話がはずんでいた所でした。

「あらなぁに?マリー?」
「カレンもどうしたの?」

二人そろって、摘んできたお花を見せます

「まぁ、かわいいお花ねぇ…でもどこから持って来たの?」
ベルダンディーがマリアに尋ねると
「あっちから〜」
とマリアは境内の方を指差しました。

「そうなの…」とベルダンディー、それから二人に微笑み

「二人とも、よかったわね。でも、お花にはちゃんとお礼を
言ったかしら?この花は、そこで一生懸命生きて、そして
キレイに花を咲かせたのよ、みんなが幸せになりますように」


「あ…あぅ...」
ふたりは、シュンとしてしまいました。


「これからは、ちゃんとお礼を言いましょうね」
お花さんにも、ちゃんとありがとうって…

ベルダンディーに諭されたふたりは、涙ぐみながら
「ごねんなさい…ママ」
「こめんなしゃい…」


そんな二人を抱きしめたベルダンディー
「みんながあなたたちを愛しているのよ、だから
あなたたちも愛してあげてね♪」


側にいたばんぺい君も、マジックを取り出して
顔に涙マークを書きました。




LIFE Ex 続く



 ちょっと思ったより長くなってしまった(苦笑
また次回に…