ああっあの夏の日に

「元気をだして♪」
そう君の笑顔が伝えるから
この場所に じっとしていれない 


夜にめぐる たくさんの思いが
窓の外 ノックするんだ
このざわめく気持ちが いつか
旅へと駆り立てるように


あの夏の日に 


この雨は いつか止んでいく
雲間に 輝く太陽が顔を出したら
さあ 元気に走り出そう
「元気をだして♪」
君の笑顔の先に 青空が広がる
ここから 飛び立とう


 「元気をだして♪」 by belldan Goddess Life.



 *** *** *** ***



「この世にあまねく 風の精霊たちよ
汝らの力の権限を執行する 我が名はベルダンディー
大地にあふれる 生命の泉と共に 彼の者を救いたまえ

天にまします 主神の御光を愛に変えて
全ての病巣を平伏させたまえ」


一陣の風が魔法陣を形成し 空中にその姿が現れると
ベルダンディーは瞳を閉じて その魔法陣を中心に立ち
法術を唱えるのであった。


風が光を孕んで輝き出す 構築された陣はやがて
西の方角へと 形を変え 空に消えていった


ちょうど地上から50センチ程 宙に浮かんでいた
彼女の肢体は 緩やかに降下を始めると
あたりは静寂につつまれた いつもの境内にだった
「これで大丈夫よね」
肩越しから顔を覗かせた 天使ホーリーベルを見て
笑顔がこぼれた 女神ベルダンディーであった。




「あれ〜?おねーさまは?」
お煎餅を口にくわえて、それはハシタナイから止めなさいと
始終言われているスクルドが、ウルドに尋ねる
「あ〜ベルダンディーなら・・・」
さっき境内の方に出てったわよん、とスクルドに答えた
「わーあたしも見にいって来ようっと」
と、玄関先に走り去るスクルドを止めようとしたが
それは止めた


「あら スクルド?どうしたの?」
空を見ていたベルダンディースクルドに気づき
「もしかしたら お迎えに来てくれたのかしら」
そう言って微笑む
「うん! でも…おねーさま 何してたの?」
「ええ ちょっとお星様にお願い事を ね」
「ふーん…あ、そうだっ!」
「なぁに?」
「えーとねぇ…えーと…」
「はいはい、ちゃんと買って来てますよ アイスでしょ」
「うん わーい」


ふたりは手をつないで 母屋へ向かう
スクルドは何て幸福なんでしょう、と感じて
姉の手を ギュっと握り締めた。



ああっ夏のある日に  by belldan Goddess Life.