心の情景

猫実工大のとある自動車部の部室
屈強な漢(おとこ)達が、何やら談義をしていた


「いいかぁ〜森里ぉ〜ライディングで重要なのはなぁ」
ニッカポッカが非常に似合うランニング姿の男が言うと
「先輩、それはですね〜コーナリングだと…」
背は低いが、とても男らしい者が答えた


「そのとおりだっ 森里ぉ〜!」
だがな、と漢(おとこ)は続ける
「では聞くが、どんなコーナリングが最良なんだ?」


「そ、それは…セオリー通り、スローイン・ファースト…」
ごく普通に、ありきたりな答えを口にした彼だが
「ほほう…貴様はそれで正解だと思うのか!」
「ええ…」


屈強な漢(おとこ)は、まいったな〜と頭をポリポリと掻き
そして、言葉を続けたのだった


「バカモンっ!コーナリングは気合で曲がるのだぞ!」
「き、気合…ですか…??」
「そうとも〜気合が大事なんだぁ!」



気合か・・随分と強引なやり方だが、先輩の言葉にも一理ある
そもそも俺は、気合って言うか、押しが足りないんだよなぁ
彼女の事にしたって…その、あの...


「森里ぉ〜!何をモジモジしておるかっ!」
さあ、特訓だと言わんばかりに漢(おとこ)は立ち上がるが
「ううう…俺とした事が…」
どうやら、立ち眩みしたらしい


「せ、先輩っ 大丈夫ですか?」
「何のこれしきっ!大丈夫に決まっているじゃないかっ!」
そして、俺に続けと言わんばかりにドアの取っ手に手をした
その瞬間  外から乱暴に扉が開いた


当然、その漢(おとこ)は、部室の内側に開いた扉に頭部を
しこたま打ち付け、もんどりを打って倒れる


先輩…ここは気合ですよっ! と言いたい所だが
脳震盪を起こした先輩の姿を見て
「だめだこりゃ…」と思ったそうな。


おしまい



教訓:何事も気合だけじゃダメって事(苦笑)
 ちゃんと論理立てて、筋道を考えなきゃ ね(^^;