歌はいいねぇ

珍しくスクルドが歌を歌っていた。


 珍しい…ちょっと失礼な言い方だが
何ともその歌い方が、昔のアイドル風なのが気になる
ベルダンディーとは違うのな…ふぅん…
「螢一さんっ お茶です♪」
みんなのティールーム、TVを見ながら
まったりしていた俺の前に、絶世の美神が現れる
「どうしたんですか?」
不思議そうに俺の顔を覗き込み尋ねる
俺はいつだって、その距離に戸惑うんだ…


君の唇まで、わずか数センチなんだよな。


「あ、あのさ…ほら、スクルドが歌ってる…」
「ああ、あの娘ったら…今流行なんですって♪」
「そうなのか…」
「ふふっ♪」
「ど、どうしたの?」
螢一さんったら…おかしいの、だってとっても気になる
私の歌も、こんな風に聴いてくれるのかしら?
それとも、螢一さんっが歌いたいのかしら?


「あの…螢一さん」
カラオケって場所が、あると聞いたのですが…
私がそう言うと
「知ってる…俺はあまり得意じゃないけど、ね」
と彼は苦笑いする、でも
「一度行ってみようか?」
そう誘ってくれたから、私は嬉しくて
思わず抱きついてしまった。


「わわわ…」
って、スクルドに見られたら、どうなる事かって
心配してしまう俺自身が、とても情けないが
それでもこんな自然に…
 

息がかかる位に、君の唇が近くに。


 

 歌の台詞 歌詞の中にある「好き」って言葉
 メロディーの魔法にかかれば、簡単に言えちゃう
 だけど、どうして面と向かって言えないのだろう
 こんなに近くに 君を感じているのに…
 Kiss my lips だなんて言えたらきっと
 簡単に奇跡は起こる かもしれない
 もっとずっと そばに居たいから
 思いは言葉にしなきゃ それは大事な事




幸運な事に、スクルドには気づかれなかった
でも、うん、そうだ、スクルドも誘ってやろう
ベルダンディー スクルドも誘おうか?」
「はいっ螢一さんっ♪」
多分、俺は何も歌わないからね…


君の心まで、わずか数センチなんだよな。



by belldan Goddess Life.