ふたりでお茶を

「ありがとう」
いつも彼が私に言う言葉。


6畳の食堂、みんなのティールームでTVを観ている彼に
いつものように私がお茶を淹れ、胡坐をかいて座る
彼の前、つまりちゃぶ台にのせると
「いつもありがとう ベルダンディー
そう言って、私に笑いかけてくれる。
それから彼はまたTVの続きを観る。その横顔を
私はしばらくじっと見詰めて、彼の横に座る。


彼はいつも美味しそうにお茶を飲んでくれる。
「美味しいよ ベルダンディー
そう言って、また私の方を向いて笑ってくれる。
この笑顔が好き…だから私も笑いかける、そうすると
彼の顔がほのかに赤みを差してくる
「いや…その…あはは」
彼はまたTVの方に顔を向けてしまった。


このまま何もしなくて、ただ彼の傍にいる事
それがこんなにも心を安らかにしてしまう。
この現在と言う時間の中にあって、その時間を超えて
私はあなたと居たいと思う事は、いけない事なの?
”君のような女神さまっに ずっと傍にいてほしい”
あなたの願い、それは本当に嬉しい願いだわ
”命 尽きるまで”
私はそれがあなたの命が尽きるまで、と言ったんじゃない
それは私の命が尽きるまで…女神である私の…


人は永遠の時の中を旅する それは過去から現在そして
未来へと進む道程
私はあなたと、同じ道を歩きたいと思う。
あなたは、どうかしら?ねぇ螢一さんっ?


「ん?何だい?ベルダンディー
どうしてあなたは、私の思いを見つけてしまうのかしら
まだ答えは見つかってない。まだ答えを見つけたくない。
「螢一さんっ お茶のお代わりはいかがですか?」
「ああ、ありがとう」
私は、私のその切なる思いを隠したくて
「じゃあ、用意しますね」と厨へ向かった。


やかんに入っている水を、もう一度沸騰させて
急須と湯飲みに、その湯を注ぎ、捨てる。
それから急須に新しいお茶の葉と、私の思いも入れて
沸かしたての湯を淹れた。


お茶の葉がひらくまでの時間、私は思う事がある。
そんな風にして私とあなたが生きていければ良いと思う。
ゆっくり時間をかけて...。



 ふたりでお茶を。


by belldan Goddess Life.