Song of Stars.

それはまるでソリッドな黒のような空間。
宇宙がまだ、宇宙と言えるまでの長い時間に
小さな思いが芽生え、育って行った話をしよう。


この宇宙には、たくさんの銀河が存在して、それぞれの活動を
行っている。その中のひとつ、その銀河が生まれた時の事
ある星が生まれた。その星に歌が流れていた。
ひとつはソプラノ
ひとつはアルト


ふたつの異なった声域が重なり、ハーモニーが生まれた。
それを調和と言う。
その声は、まるで双子のように寄り添い、時には離れて
世界を構築しようと、声を重ねて行くのであった。
ソプラノはお姉さん
アルトは妹だった。


世界は、光と闇によって、様々な動植物が構成され育成された。
光と闇は、各々の力を誇示し、競い合った。
それを進歩と言う。
やがてその声の持ち主は、姿を整え人に良く似た形になる。
姉は、自分の事を星歌と呼び
妹は、自分の事をヒルドと名乗った。


姉は光り輝く世界を構築しようとし
妹は闇の世界を支配しようと考えた。
それは、この世界…すなわち自分たちが生み、育てて行く世界の
為にだ。
光と闇のバランス、それがすなわち世界のバランスとなる。


姉妹は世界のバランスの為に、あえて離れて暮らすようになった。
これが天上界、魔界の始まりなのである。



「そうか…そうだった」
ユグドラシルの図書館と言うべき建物の中で、リンドは古い文献を
検索して、それを読んでいた。
それにしても、この話…わたしが女神候補として就学に励んで居た時に
読んだ事がある。あの頃は、ただの歴史上の人物だと捉えていて
しかも伝承物として捉えていたのが実情だった。
「知っていたとは言え、それを使えなくては、ただの知識だな」
リンドは考えた。
「知識は使ってこそ、知恵となり、力となるものだ」
ここは反省点だな、とリンドは思った。


現在は、ある意味でも情報戦だ。だからどんな情報でも疎かにせずに
的確に判断し、現実に対処しなくては、どうにもならない。
無論、必要な情報、不必要な情報等の整理は必然だが、しかし
こんな昔の文献にさえ、件の事件の解決法が隠されているのだ。
「もっと精進しなくてはな」
リンドはその瞳に、強い意志を込めて
「明日からも、早速修練だな」
と、それはそれは強く思った。


数日後、リンドにある任務が与えられた。
まさかの地上勤務だった。


その場所は…



Song of Stars. Solid Black EX.


by belldan Goddess Life.