ふたり…三人の散歩道で

風に揺られながら、まるで踊るように
君の後姿、ついて来る影法師
小さな影 大きな影 並んで歩いている
夕暮れの時間 近くの河川敷で。


重なる影、日が沈む内に長くなる
君は小さな手を握り、まっすぐ前を向いて
歩いている。
小さな手 可愛い手の平を愛しそうに
結んだ髪が揺れる 繋いだ手が踊る
何もないこんな日は いつもふたりで
散歩道 風の通り道 川面を横切る風に
吹かれて 歩いていた。


これからは三人で 歩いて行こう
この道は未来へ続く道
この道は家路に続く道。


どこからか吹いてくる風は
きっと異国の物語を綴っている
耳をひそめて 聞いてみないか
海を渡って来た風は
少し潮辛いかもね だなんて
君が笑った


小さな手の もう片方には
買ってもらった お菓子があって
大好きな 大好きなビスケット
大好きな 大好きなパパとママに


君の好きなものは なぁに?


君の頬を撫でる風は 君の事が好きだよ
君の頬を撫でる風が 面白い話をするよ
だからその笑顔は そんなに可愛いんだね




「シッ…マリアベル…螢一さんが歌を歌ってるわ」
「ん?どーしたの?ママ?」
彼女らの後ろを歩きながら、ちょっと鼻歌まじりで
口ずさんだ、昔の歌。
まさか誰にも聞こえやしないと、そう思ってた。


振り返ったマリアベルが、一目散に螢一の元へ
走ってくる。
「パパ〜マリーも歌うっ!一緒に歌うよっ!」
螢一に抱きついたマリアベルは、教えて音頭で
「わたしにも教えて〜教えて〜」
と言う。
「よ〜し、帰ったらママとみんなで歌おうか」
「うんっ!わーい!」


すごく、ご機嫌になったマリアベルはTVで見てる
アニメの主題歌を滅茶苦茶に歌った。
「恋人は〜女神さまっ〜人間なんかに嫁にゃ〜やれない♪」


「なんか…すごく変な歌だよな」
「うふふ…そうですねぇ」
女神さまっを嫁にもらった俺が言うのも何だが
そんなアニメソングってあるのか?と思った。
傍に居るベルダンディーは、始終ニコニコ顔だ。
もしかしたら、マリアベルと一緒に歌ってるのかも知れないな。


「あは…あはははは…」
俺は笑うしかなかった。
これからも波乱万丈な人生は続くのだ。


大好きな人と共に ね。


by belldan Goddess Life.