お茶の時間

「これ、頂き物なんだけど・・・」
そう言って私に手渡してくれたのは紅茶だった。
深い色のアッサム・ティ。
ミルクティーに良く似合うと思う。
「わぁ〜ありがとうございますっ 螢一さんっ」
私はそれで飛びっきりのミルクティーを彼に
「さっそくお茶を淹れますね」
待っててくださいね、と私は彼に頼むと
すぐに厨へ、そして新鮮な水を沸かした。


たしか木の実のクッキーがまだあったはず
そんな事を考えながら、お湯が沸くのを待つ時間が
とっても好き。
懐かしい香りがするの、それは遠い記憶の片隅に
そっとしまった私の想い出。


お湯が沸いて、ポットとカップを暖めて、そして
たくさん茶葉をいれる、お湯を注ぐと元気に踊り出す。
「あなたと私と…ポットさんの分とね」
出来上がるまで3分、それまでに螢一さんっの所まで
まるで私、はしゃいでる。紅茶葉のように踊りだして
しまいそうだわ。


木の実のクッキーは、くるみのクッキー。
きっと彼も気に入ると思う。


「あ、ありがとう」
彼の前に差し出したカップからは、馥郁たる香りの
アッサム・ティの湯気が立ち昇る。
「あ、くるみなんだね。このクッキーって」
面白そうに彼が言うから
「ええ、リスさんも大好きな♪」って言ったら
「あはっ だったら頬っぺた一杯に食べなきゃね」
と笑い返してくれたの。


まずはストレートで、香りと味を楽しんでね。
それからクッキーを食べて、それから後はお好みで ね。


縁側でのお茶会。それはとても小さなお茶会
そして、あなたと私だけのお茶会。
風がそっと吹いてくる。それは秋の乾いた空気を含んでいて
肌に触れる感触が涼しい。
あなたは庭の方を見ていて、私に横顔を見せてくれるの
何を考えているの?
私の事だったら、とっても嬉しいのに。



 お茶の時間。


by belldan Goddess Life.