女神リンドの憂鬱?

それは神々の黄昏でもなく、ラグナロクでもない。
それは戦乙女の憂鬱、視線の先のあるのは光か、闇か...


またしても森里家に女神が降臨したそうだ。
上司でもあるペイオースの御使いが主なのだが、それでも
簡単に降臨してくれる…まぁ、でもそれがユグドラシル
良い所である訳だ。
思ったよりも自由で、考えているよりも使命感が優先される。
この世界の均衡を、そして維持する為に図られる計画を
実行させるには、並々ならぬ努力は基より、資質と言うものが
言及される世界でもある。
「そう言った意味では、地上界の方が視野が広いか…」


努力に対して、それぞれの等価値が教授されるのは
宇宙の真理と言っても過言ではないが、個人に与えられた天命
それは使命感とも同意語なのだ。
しかし、その事に捕らわれ過ぎるのも如何なものかと思う。
見識を広げる、言うなれば、それは知識を得て、智慧に変える
事になるのだ。


非番の日、思いがけない人物からの連絡があった。
「あら、いらしてたのですわね〜」
ペイオースだ。
「ちょうど良かったですわ、非公式なんですが、お願いしたい
事があるんです」
「その、願いとは?」
私は手短にペイオースの要求を聞こうと試みる。
「すでにご存知だと思うのですが、地上界へ・・・」


ずいぶん自分勝手なお願いだな、と私は思うのだ。
ペイオースの御使いの為に地上界へ降臨したクロノの
警護と、あるテストを頼みたいと言う。


しかし、私にも考えがあった。
地上界へ降臨するには、それなりの理由が必要だ。
ワルキューレとして降臨するには、大袈裟だし
お忍びと言うのも、いささか思う所がある。


ただ、久しぶりに会いたい友も居るからな...


私は「了解した」と返事をして、降臨する準備にかかった。
見識を広めるには悪くない条件だと感じている私の口から
思いがけず、歌が飛び出しているのを知った時には
苦笑してしまった。


世界は広い。こんなにも私の知らない事がある。
そしてそれは、私自身の心にも去来する事でもあるのだ。



女神リンドの憂鬱?


by belldan Goddess Life.