新しい世界の中心へ

時折、心地良い風が吹いて来る縁側に座って
ぼんやりと庭を眺めている。
「風が気持ちいいな」
それにここは、とても磁場が整っている。
それはノルン達が揃い踏みしているからだろう。
もしここに、ユグドラシルの樹があったら、それは
そのまま天上界と遜色ないものになるな、とリンドは
思って、クスリと笑った。
「差し詰め、天上界分室と言った所だな」
そう言う意味では、ちゃんと魔界の者も攻撃に来るし
空間の歪みも生じるし、ああ、そうだ…この間は
ゲートまでもが、こちらに降臨したんだな。


面白いな、と彼女は思う。


本来、天上界に居るべき存在のノルン達が
地上界の小さなお寺の母屋で暮らしている。
「もしかしたら、ここから新しい世界が作られるのか」
そんな事を考えていると、天使たちが騒ぎ出した。
買い物に出かけてた、ベルダンディーと螢一くんが
帰宅したんだな。
クールミントとスペアミントは、本当に螢一くんが好きだ
あの事件で、心を共有した事が起因したんだろうな。
わたしの心にも、その思いが染み渡って来て、何だろう
とても親近感を覚える。
天使たちが急き立てるので、わたしは玄関先へと赴く
「おかえり、螢一くん、ベルダンディー
わたしは彼らを迎える格好になるが、それがとても
嬉しく感じる。
「ただいま〜リンド」
ふたりは声を揃えて答えてくれる。


この、ふたりの世界は、どうしてこんなに平和なんだ。


世界には善意と悪意のバランスがあって、常にどちらかに
傾きかけては修正し、平和と言うより安全を優先した。
その世界も、生まれたての頃は、ベルダンディーと螢一くん
のように、平和な空間が存在していたのだろうか。


世界が平和である事、それはわたしをはじめ女神達の総意で
ある。
そして全ての世界の始まりには、こんな風に幸せな平和が
厳然と在ったのだろうと感じた。


天使たちは、真っ先に螢一くんに抱きついた。
「あらあら」
そんな姿をベルダンディーは、優しく見つめている。


そうか、この世界は螢一くんが中心なんだな。
彼の優しい思いが、世界を形作る。
わたしより、ほんの少し素直な、わたしの天使たちは
真っ先にそれを感じ、ストレートに体現してくれる。
ちょっと恥ずかしくなるな...。



新しい世界の中心へ。



by belldan Goddess Life.



*** *** *** ***


ご存知だとは思うが、原作、及びアニメのリンドは
そりゃもう、すごく凛々しい女神さまっなのだよ。
その御姿は「闘う翼」OPで観れます。
凛としたリンドの佇まいがあればこそ、こうした
2次創作が展開される事をお忘れなく。
そして、個人的に思うのですが「闘う翼」は
先の劇場版を、遥かに凌駕したと感じてます。