Old Fashion Love Song

何となくラジオのスイッチを入れて
チューニングを合わせたら、懐かしい音楽が
聞こえてきた。
スリードッグナイトか...」
まさにこの曲の歌詞のようなシチュエーションに
ほくそ笑んでいたら、襖をノックする音がした。
「ベルダンディかい?」
「はいっ螢一さんっ」
スッと開けられた、その場所には見目麗しい女神が
お盆にお茶を載せて立っていた。
「螢一さんっ お茶ですよっ」
何時もの事なのだが、どうして彼女は、こんなすごい
タイミングで登場するんだろうと思う。
「ありがとう、ちょうど飲みたかった所なんだよ」


ベルダンディーはにっこり笑い、螢一のそばに座る
お盆を床に置き、慣れた手付きで急須からお茶を
湯飲みに注いだ。
「はいっ 螢一さんっ」
「ありがとう うんっ美味しいよ」
「良かったっ」
彼女は微笑む、そして
「ところで螢一さんっ?この歌は?」
俺の部屋のラジオから流れる歌を聴いた彼女は
「なんだかとっても…ステキな歌ですねぇ」
と感想を述べる。


それからベルダンディーは、少し考え事をしているのか
右手の人差し指を顎に当てて、宙を見詰めていた。
何だろうかと、俺は思ったが、その姿があまりにも
可愛らしいので、しばらく見詰める事にした。



☆Aコース:天上界の想い出(女神モールでの話)
☆Bコース:螢一さんっとの想い出(あのデートで)



「あ…あの?ベルダンディー?」
俺は、あまりの時間に心配になって声を掛けた。
「はっ!あ、はい?螢一さんっ?」
我に返った彼女は、とてもすっとんきょな声で
「あの…私、ちょっと考え事しちゃいましたっ」
ここで擬音を選ぶとすれば『てへっ』が正解なのか?


俺は思わず彼女を抱き寄せてしまった。内心はドキドキ
なのだが、とても良い雰囲気だったので、つい...
「あ…」
「いや、その…あはは」
「螢一さんっ」
「ベ、ベルダンディー
そしてまさにお互いの顔と顔が、唇と唇が国境を
超えようとした、その時である。


「け〜いち〜!13ミリのレンチ貸して〜」
スクルドが、そして
「けーいち〜 面白い薬出来たから、見せたげるわ」
とウルドまでもがやって来る。


良い所だったのに、寸止めだよ。


二人だけにしてくれれば、ちゃんと良い雰囲気になるんだって
本当に分かってくれているのかな?と思ったが
多分このふたりには、そんなの関係ねぇんだろうな。



 古い流行歌。


by belldan GoddessLife.