終わりから始まる物語。

物に思いが宿ると言われる。
どこかの彫金師が、ある指輪を制作し作品化した。
そして作品には、その師の思いが籠められた。
それを求めた者は、その中に自分の意思を籠めた。
融合した思いは「愛しています」と。


ある青年の元へ渡ったその指輪は、青年の愛する者へと
贈られる。
ありったけの思いを籠めたその物を、宝物と言うのだろう。
ふたりの時間、ふたりの想い出がたゆたう時の中、育まれ
育ち、大きくなる頃に別れの時を迎える。


「俺は君を忘れない」
「どんなに時間がかかっても、君を探してみせる」


ふたりが離れ離れになってしまった後も、指輪は思いを
その意思を綴って行く。
それは磁石のような吸引力を持ち、いつか必ず届けられる。


純粋な思いは、金塊のように輝き
純粋な思いは、何処までも澄み切った青い海のよう
記憶が途切れ、まっさらな状態になり、新しい一歩を
踏み出す時が来ても、思いは更新もされず、継続して行く。
深海に沈む貝の中にある真実
たくさんの者の思いに護られたその思いは、悠久の時を経て
愛する人に辿り着くのでしょう。


初めて出会った顔をして、その驚きの中でふたりが
言葉を捜しながら、消えてしまった思いに上書きされる
気持ちはきっと、懐かしいと何故だか感じてしまって
愛しいと思う気持ちが、どこからか沸いて来てしまって
間違い電話をかけてきた、それは本当は間違いではないのだが
青年の元へと降臨して来た女神さまっが、少し緊張気味で。


「こんばんは、何をお望みですか?」
「私、女神のベルダンディーと申しますっ」


青年をみつめて、にっこり微笑んだ。


青年の答えは・・・。




「君のような女神に、ずっとそばにいてほしい」



by belldan Goddess life.