Rhapsody in St.Valentin’s day.

木枯らしの中でも、例え雪が積もっても
乙女心は止めれない。
そんな日が近づく、ある2月の日だった。


商店街の中、特設チョコ売り場には
たくさん人が集まっていた。
その中にベルダンディースクルドの姿もあった。
ふたりはチョコの原料を買い求めて、その場を
後にした。
それからプレゼント売り場へ赴く。
「これだったら仙太郎君に似合いそうだわね」
「でしょ?うん、これに決めたわっ!」
スクルドはマフラーを買った。
そのマフラーは爽やかな色をして、羽のように
軽くて、そんな感じのマフラーだ。
姉のように手編みで…とは行かないらしい、でも
選ばれたマフラーは、彼女の気持ちそのものだ。
「お姉さまは?」
「ええ、ちゃんと用意してありますから、大丈夫よ」
ベルダンディーは、手編みの物を用意していた。
ふたりは笑顔で見つめあった。



地上界にある、1年に1度のイベントには
女神さまっも人事じゃないらしい。
恋する乙女心は、どんな世界でも共通言語なのだ。
好きで、本当に大好きな者への告白は
それ自体が大イベントなのだが、その日は
公明正大にやってのけるチャンスでもある。
そしてそれは、二人だけじゃない、皆にも
知らせるチャンスでもあるのだ。
好きな人を好きだと思うのは自由なのだけど
それを多くの人に認めてもらうのは容易ではない。


恋する二人は、二人だけの世界に居られれば良いと
思うのが常だが、本当は多くの人に見守られている
と言う事を知らねばならない。
人を愛する事は、とてもステキな事だと思う。
しかしその代償を払わなければいけない。


その代償は、勇気だ。
そしてその日は、それを示す格好の日だと言う事。
ベルダンディーは、愛する人が居るのなら
全ての人々が勇気を持ってほしいと願った。



「買い物も済ませたし、帰りましょうか」
「はいっ お姉さまっ」
ふたりは商店街の外れにあるバス停に向かった。
ここからバスに乗れば、お寺の下の道まで行ける。
そこから階段を登れば、すぐそこが他力本願寺だ。
バスの中から見る見慣れた景色は、そのまま安らぎの
風景だ。
季節が移ろいで行く様は、まるで芸術で
この世界は、本当に美しいわ、と彼女は思った。


いつものバス停に着いたバスから、ふたりは降りる。
その時、とても大きな力を感じた。
スクルド、感じる?」
「ええ、とても大きな力…何なの?」
「おそらくこれは…神属のものね」
お寺で何が起こったのか、それが心配になって
ふたりは急いで階段を駆け登った。



Rhapsody in St.Valentin's day #1(続くんだな)


by belldan Goddess Life.