季節が運ぶ風〜春

風が通り過ぎて行く
季節運ぶ風 空気をはらんで
舞い上がる螺旋の 回廊に


願いを籠めて 思いを無期限起動に
この地球(ほし)回りまわって
その時が来るまで 
あなたの事 見詰め続けているの


小さな芽 小さな思いは膨らんで
芽吹きの時が訪れますように
儚げな花弁 震わせながら
はにかみながら 空を見上げる


あなたがあたしを見つける時はいつなの?
こんなに小さな姿 こんなに小さな思い
ねぇ あたし ここにいて
一生懸命 花咲かせました
ねぇ あなた 振り向いて
ここにいるの 春色の風と一緒に♪




「ん〜?」
お散歩道、ひとりで歩いていた。
いつもの道、でもいつもと違う気がした。
「誰か、お歌を歌った…の?」
振り向いた少女の問いに、誰も答えようとはしない。
風が、ふんわりと通り過ぎて行っただけだった。
「あれぇ…?」
それでも何故だか、心踊る気がした。
だから、思い付いたメロディを口ずさんでみた。
ママみたいに上手には歌えない、でも歌う事は大好き
「ラララ〜♪」
すると、今まで見慣れた景色が、一変する。
パステル・トーンに染まる空間、季節の精霊が呼応する。


不思議な気分、不思議なメロディ、不思議な世界
なんてステキなんだろうとマリアベルは思った。
早く帰って、ママ、パパ、そしてお姉ちゃん達にも
教えてあげなきゃ!って思ったんだ。


帰り道、不思議な楽団は、誰にも見えないけど
確かに新しい季節を、この街に知らせていた。
小さな少女がコンダクター、風に誘われて
たくさんの精霊たちが、微笑みながら歌っていた。


「ラララ〜♪」



by belldan Goddess Life.