何もない日は。

何もない日は、図書館へ行く。
通りを歩いて、時々寄り道したりして。
そこで小さなケーキ屋さんを見つけたんだ。
可愛くて小さなケーキ達が、ウインドウから
「おいでよ〜」と、まるで手招きしているみたいで
だから少し、ほんの少し、うん、ちょっとだけだよ
そう思って笑っているアタシの顔は、どんな風なのかな。


結局何も買わないで、図書館へ行く。
今日はお気に入りの作家の新作が入荷しているって
係りの人から連絡があったんだよ。
本が大好き。本を読んでいると、まるで主人公になって
物語を綴る、足跡を残して、物語が終わる。
嬉しい事や、悲しい事も、すべて共有している気分って
アタシ好きなんだ。


図書館へ足を運んだ瞬間、たくさんの匂いに眩暈がした。
きっと多くの人の思いとか、そう、たくさんの思いが
この中にあるんだよね。
もちろん本の匂いが好き。もしかしたら活字中毒者?
あるいは活字依存症?そんな事を思って、クスクス笑った。


受付で貸し出しを済ませて、少しの時間、室内を散策する
まだ見知らぬ本たちが、整然と並んだ本棚とか、雑誌のラック
とか、アタシはまだまだ何も知らない、小さな人間なんだよね。
「もっと知らなきゃ…」
そして、たくさん知れば、きっとあなたの事も分かるかな?
ポケットにしまってた携帯を取り出して見た。
メールは入っていない。
「ふぅ」
当たり前だよね。だって、連絡してないもん。


隣接しているドリンク・コーナで、紅茶を飲んだ。
薄いミルク・ティは、甘かったけど、でも悪くはない。
テーブル席に座って、借りた本のページをパラパラと
めくって見た。
ちょっとワクワクしてくる。物語が始まる時って
何でだろう、嬉しくて、切ない気分になってしまう。


雨の匂いがして来た。きっと外は雨なんだ。
傘の用意を忘れた。アタシは何てドジなんだろうと思った。
雨にさらされた誇りの匂い、振り出した瞬間だけ香る。
ひょっとして、このままいつまでも雨が降り続き
アタシは、この場所から動けないかもしれない。だなんて
妄想癖なのかしらね、って思う。


でも
でも、もしも
この場所に、このタイミングで
あなたが偶然通りかかったら...
そして
そして、あなたが
話しかけてくれたら...


雨ににじむ街灯とか、お店の看板がきれいに見えるのは
きっとアタシの心のせいかな?
風に運ばれて雨が吹き込む図書館の前で、アタシは
ちょっとセンチメンタルかしら?
「そんな事、ないわよね」
思った事が口に出た。
知らぬ間に俯いて行く、アタシの思い達...




「あれ?何してるの?」



あなたが現れるなんて
そんな偶然、ある訳ないと思ってたから...アタシ



by belldan Goddess Life.



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あー忙しい日々が続いていく...orz
4月になれば、きっと自由な時間が作れると思うんだ(哀願)