Love me more

―不思議な夜に 後から着いて来る影―


振り向くと、その存在は雲散してしまう。
「気のせいかな?」
家路に向かう道すがら、それはいつもの道
なのだけれど、まるで異空間に誘われるようだ。
危ないアブナイ…俺って、割とそう言う類には
恵まれていて、もちろん嬉しい事もあったし
それは現在そうだし、家にいる女神さまっ達の事を
思い浮かべながら、それでも警戒心だけは心に留め
帰りを急いだ。


「ただいま〜」と玄関先で靴を脱ぎながら
俺は密かに返信を待っている。
「おかえりなさい、螢一さんっ」
その声の主は、とても軽やかな声と、慈愛に満ちた
笑顔で俺を出迎えてくれる。
「あら?螢一さんっ? お客様ですか?」
そう言ってベルダンディーは、俺の背後を見る。
「えっ?…って?あれ?」
そう言えば先程の帰り道で、何かか着いて来る
そんな気がして、振り向いたりした。
ベルダンディー、その…見えるの?」
恐る恐る聞いてみた。


「はいっ でも、誰なのでしょうか?」
ベルダンディーは、螢一さんっのお友達?と考えたが
螢一には、天上界の住人の除いて
異世界の友人は殆ど居ない…と思う。
「あの…宜しかったらお名前を…」
ベルダンディーは、微笑みながら尋ねたが、しかし
返事は無かった。
ベルダンディー、姿とか、見えるの?」
俺には見えないので、薄気味悪さは払拭できない。
だから詳細を知りたかった。
「ええ、見えます…ですが、お名前を知らない事には
こちらから声をかけても、無反応のままなんです…」


無反応なのか…しかしどうして俺の後を付いて来たんだ
巻き込まれ人生の王道を邁進している俺にとっては
これも日常茶飯事な事かも知れないが、それにしても
名前が分からないってのは、今まで無かった。
どうすべきか思案していた所に、マリアベルがやって来た
「パパ、お帰りなさいっ あれ〜?お友達?」
反応が母親ゆずりなのが、面白いが
「こんばんは、えと…誰でしゅか?」
首をかしげ、アレ〜と表情を変えたマリアベル
何か閃いたらしい。
「リリアちゃん?もしかして、リリアちゃんなの?!」


ちょっと待った!
リリアって誰だよ?
んで、何でマリアベルが知ってるんだ?


「あのさ、ベルダンディー…」
「はい?螢一さんっ」
「何でマリアベルは知ってるんだろね」
「そうですねぇ…なぜでしょう?」
ベルダンディーは不思議そうな顔をしていたのだが
名前が分かったとたん
「リリアちゃん、よかったらお茶でもいかがかしら?」
と、かなりのウエルカム状態だ。


しかもその間、俺には何も見えない。だが
「あ、えーと…いらっしゃい、リリアちゃん」
と俺は、何も見えない空間に向かって声をかける。
不思議だが、これはこれで現実なんだよな。


Love me more


by belldan Goddess Life.


どこかで続きは書くと思う。期待はせずに(泣)