春の雨に

明日の事 占うように 空見上げて
流れる雲 香る春の花 ちりばめて
足音もなく 通り過ぎるのは誰かしら
ふりむけばきっと...


気まぐれな天気 夕暮れの交差点
行き行く人に 面影探して
こんなに心が彷徨うのは 小さな傷が
痛むからかしら


春の雨に


何度も想い返し
時が流れて行く
夕暮れの街に 灯りが点いて
雨はやがて 止んで行った


明日はきっと 出会えますようにと
想い込めた 帰り道
きっと 会えますようにと。



「大丈夫?」
その人は、そう言ってにっこりと笑った。
突然の雨に、傘を忘れた私は、行く場を失い
街の外れの公園の木陰に避難していた。
差し出された傘、そしてその人は
「これ、使いなよ。俺はバイクだから」
そう言って、表に止めてあるバイクを指さし
「じゃあね」と言って、その人はバイクまで
戻って行く。


私は、ボケッとして、その経緯をまるで
他人事の様に見ていた。
見ていたと言うのは変だけど、だけどまるで
魔法にかかったようだったんだ。
小さくなる後姿に、やっと言えた
「あ、ありがとうっ」


そして、バイクは走り出して行った。




サイド・カー?その側車には、とても綺麗な女性が
乗っていたのを覚えてる。
あれは…たしか同じ大学の森里くん。
そして傍にいたのは、ベルダンディーさんね。


学食のテーブルに肘をつき、ぼんやりと考え事をして
友人に呼ばれるのも分からない位に、そんな今日。
「ねぇ、ちょっと!梢子っ!」
メガネが似合う知的な感じの友人、吉川玲子は
呆れ顔で言葉を続けた。
「なぁに?またどこか知らない世界へ行ってるの?」
「へっ?ああ、玲子…ん?なに?」
「なに?じゃないわよっ!泉 梢子さんっ!」
そうだった、私は玲子と待ち合わせをしていたんだ。
同じ電子科で、ちょっと姉御肌の彼女は
何かと私のことを心配してくれるらしい…らしいって
言うのは、私的には心配後無用なんだけど
彼女にとっては、そうも行かないらしい。


「で?今日はどんな世界へご旅行されたのかしら?」
玲子は私の隣に座って
「それとも?もしかして恋の悩みとか?」
言うなりニヤリと笑った。


「んなななな?なにお?」
「ほほぅ…図星だったとは…」
「そそそんな事、アリマセンよ?」
「ダメダメ、ちゃんと顔に書いてあるし」
「う、うそっ!」
私は自分の顔を両手で覆ったが、それも間違いだった。
「ほらねっ!んで?誰なのよ?その相手は?」


相手?相手って…えっと…


「まさか!って…また小説の読み過ぎかな」
「あら?はぐらかす気かしら?」
「もう!止めてよ玲子さんっ!」
「はいはい、止めますわよ…梢子さん」
それでも意味深な顔で、私を覗き込むように
玲子は笑っていた。
「気が向いたら、教えてよね」
「うん」


まだ私も気がつかない、そんな気持ちは
季節が巡るにつれて、花咲いて行くのでしょうか。
この世界に、まだ知らないあの人がいる事を
曖昧な日常に埋没したまま、時は過ぎて行くのでした。





春の雨に。




by belldan Goddess LIfe.



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う〜ん、趣味の世界(笑)展開を考えてはやり直して
プロットぶっ飛ばして、好きな様に書くのが好き(おい