春の雨は

雨上がりの街に 二つの影色濃く
チリチリと日差しが 空気を暑くして
刻々と変わる季節の色 風のにおいが
頬をなでる 小さな木陰で 一休み


雨上がりの公園に 木漏れ日のシャワー
匂い立つ緑の幽玄な世界 歩いていたら
忘れていたものを思い出すかも だなんて
ひとりほくそ笑み そして苦笑いして


「ここでコーヒータイムだわね」
駅前のコーヒースタンドで、入れたての
ごく普通のコーヒーだけど、それはとても
極上の飲み物になる。
それから電車に乗って、橋を渡る時に見た
遊覧船の波紋、シンメトリーな規則性と
優雅な時の流れを感じた。


風に乗って 季節がやってくる
季節が呼ぶものは 遠い記憶と
懐かしい あの頃の風景と あなた
何気ない日常 かけがえのない日々
それはとても 愛しい日々だと


恋してた 愛していた それはとても
切ない記憶 それはとても優しい記憶
やがて消える恋の 刹那に残る感情は
いつしか愛情に変わっていくのかしら?
なんだかとても 嘘みたいで
なんだかとても うれしくて


木々のトンネル 森の記憶 水の妖精
空から降りて来たのは 雨じゃなくて
優しさの贈り物
いつしか変わる その気持ちにも
優しい輪郭だけを残して。 



春の雨は。


by belldan Goddess Life.