迷宮の扉

森里家には、三人の女神さまっが居る。
彼女らは人間とは違い、エネルギー源を食事等に
頼らないのだが、代替エネルギーとして、それぞれ
嗜好品があった。
その嗜好品ゆえに、度々家計を脅かされてきた主人公
森里 螢一は、ここ最近、少しだが圧迫されてきた
台所事情の軽減を感じていた。
それを不思議に思い、彼の恋人、女神ベルダンディー
それとなく事の次第を問うて見た。


「ええ、それはきっと姉さん達がダイエットしている
からではないでしょうか?」
「ダイエット?女神さまっに、そんな事、必要なの?」
「そうですねぇ…特に必要では無いのですが・・・」
「ふぅん…でも、ちょっと助かる…所帯染みてるけど」
と俺は、苦笑いをした。


ウルドとスクルドが、何かのきっかけで始めたダイエット
それは言うなれば勝負の一環らしいが、とても良い事だと
俺は感じた。
傍から見れば、暴飲暴食の限りを尽くしているかのような
彼女らの嗜好品への思いは、熱意を帯び、やがては
欲望の渦中へと向く事必至だし、それに月々の支払いも
楽になる…って、それは俺の問題か。


「ところでさ、ベルダンディーはダイエットしないの?」
「あら?私にも必要と思います?」
「え?あ…」
「螢一さんっ…私、太ったかしら…」
「え?えと…そんな事は…」
「もうっ!ちゃんと答えてくださいっ!螢一さんっは
私の事…全部見て知っているでしょう?」
ちょっとふくれっ面の女神が、俺を見つめて言った。


そりゃあ全部って言うか、全て見て知っているけど
何だかそれを考えると、こっちが赤面しちゃうよ。
でも、ベルダンディーの肢体は、本当に綺麗で
神々しく輝いているから、ダイエットなんか必要ないと
思っている。だから俺は
「あの、その…君は、本当に綺麗だよ。だから…」
「だから?」
「そのままで良いと思う」
「本当?」
「うん、本当さ」
「嬉しいっ!螢一さんっ!」
そう言ってベルダンディーは、螢一に抱きついた。




それを襖の端から覗き見していたウルドとスクルド
まず第一に落とすべきは、螢一にありと考えた。
スクルド、この難攻不落の台所を攻略するには
やはり螢一を懐柔すべきね」
「その意見には賛成だわ、ウルド」


将を射んとすればまず馬を射よ、とは言ったもので
まずは外堀から攻めようと画策するふたりであった。



次回、扉を守りし者。



by belldan Goddess Life.



*** *** *** ***


あれれ?続いてるよ(苦笑)