扉を守りし者

日中の陽気に誘われて、時々ベルダンディー
買い物に付き合うのだが、街中での彼女の人気が
物凄いのに、改めて驚く俺がいる。
バイクを駐輪所に預けて、猫実商店街をそぞろ歩く
商店街のご主人達が、ベルダンディーを見つけては
挨拶を交わして行く。それに軽く会釈している彼女
まるでこの街の女王さまのようであった。
”国民を憂いて、野に立つ皇女さま”さながら
その慈愛満ちた微笑が、街に暮らす人々の活力元
のような感じなんだろうか。


そうすれば、さながら俺は皇女の御付の者なのだろう
或いは従者、召使、良くて騎士(ナイト)なのかも...
バイクを馬に見立てて、騎士がいいなぁ、と考えた。
皇女を守りし騎士…絵になるんじゃないのか?とか
そんな事を考えてると、ベルダンディーは俺を見詰め
「どうかしたのですか?」と不思議そうに尋ねた。
「あ、いや…別に…あははは」と乾いた笑い声で
俺は自身の妄想を全力で隠そうとする。
「ん?」ちょっと首を傾け、人差し指を顎に当てて
思案をする彼女の表情が、とても愛らしい。



買い物も無事済んで、帰路へと向かう最中の事
側車のベルダンディーは、楽しそうに歌を口ずさんで
それは本当に春を謳歌する歌のようであった。
麓から丘への山坂道を登るバイクも、軽やかに
コーナーをクリアーして行く。
感じる風も、春の匂いと、ほんの少しだけど初夏の
香りが混じっているような気がした。


「ねぇベルダンディー、ウルドとスクルドのダイエット
その…上手く行っているのかい?」
「ええ、大丈夫みたいですよっ♪」
「そうなんだ…でも、本当に彼女達に必要なのかな?」
「ダイエット・・・ですか?」
「うん」
「本来、女神にはダイエットは必要ありませんが、でも
何でも打ち込んで頑張る姿ってステキでしょ?」
「そうだね」
「姉さん達も、そうだと感じているみたい…だから」
「だから?」
「私も全力で応援しなくちゃ!って思っているんですっ」



ベルダンディーの応援には、とても共感するのだが
だがしかし、ちょっと論点が外れている気もする。
そしてベルダンディーのその思いは、彼女らに届いて
いるのだろうかと不安にもなるのだが、要らぬ心配は
無用だな、とも思った。


「分かった、じゃあ俺も応援するかな」
「螢一さんっ、一緒に応援しましょうね!」


バイクは森里家へ向かった。




その頃、ウルドとスクルドは厨へ近づけないでいた
強固な防壁が法術で展開していたのだ。
「まったく!何て強固なのかしら!」
「ウルド…あんたの解除術でもダメなの?」
「そうね…ベルダンディーの法術って、こんなに強固
だったかしら?」
「ああん!今がチャンスなのに〜!」
地団太を踏んでいるふたりだった。


強固な防壁は、強力な門番によって守られていた。
その鍵を握るのはベルダンディー、そしてその鍵とは
まさしく螢一その者だった。



次回、扉を開いて。


by belldan Goddess Life.



*** *** *** ***


まったく、何の話か分かりません(苦笑)


アフタ最新号、なすとにんじんを連れてお散歩中の梨沙
ちゃんは、どこへ…
クロノちゃん、ワルキューレ志願だったのですかっ!
楽しい”音の調律編”も後わずか…さてさて結末は…。