Nymphaea(夏の花)

庭の池に 夏の花咲く
朝の日差しが 正午に届く頃 咲いた蓮達
薄桃色の花弁 華やかに開く姿
太陽が 嬉しそうに微笑みかけている


そばには睡蓮も 楽しげに
ふんわりと芳香 風に舞い踊って


縁側にかけた風鈴 チリンと音を立てた。


私は傍らに居る螢一さんっに、冷たい麦茶を振舞い
彼の見ている方向へと、視線を向ける。
ひさしのお陰で、幾分涼しい縁側から見る庭は
まるで天上界に居た頃の、ある場所に似ている。


螢一さんっは、私が縫い上げた浴衣に袖を通していて
その涼しげな衣擦れを、心地よく楽しんでいる。
私もお揃いの浴衣なので、まるで…だなんて。


「螢一さんっ?麦茶のおかわりは?」
「ああ、ありがとう」
「はいっ」
薄いグラスの中、カランと音を立てる氷が
一陣の風を呼び込んで来たのか、彼の前髪が揺れた。


私は、そっと手を伸ばして髪を直し
それから彼の顔を見詰め、優しく微笑む。
彼は少し照れて、それから私にもう一度「ありがとう」
と言った。


私は、あなたの安らぎになっているかしら?



 夏の花。


by belldan Goddess Life.



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暑くなりましたねぇ...