幸せな日々

幸せな日々 本当に神さまっているんだろうか
太陽は輝き 風はそよぎ 空気が冴えて見える
心澄ませて 耳を欹ててみよう 聴こえるかい
あの歌 天使と君が清らかな声 揃えて空へと


幸せな日々 俺は縁側で寝そべりまどろみの中
目を閉じて 自然にリズム刻む 鼓動が揺れる
さわやかな 夏の終わりの歌が 聴こえるかい
この歌 天使と君が清らかな声 揃えて歌うよ



 不思議なもので、無神論者でもないけど、俺は
神さまが存在するって、良く分からないかった。
それでも、小さな頃は鷹乃さんと桂馬さんに連れられて
教会のバザーとか、色々イベントに行った事を思い出す。
「前へ進む事を恐れてはダメよっ」
「最初から諦めるなんて、そんな勿体無い事をするな!」
ふたりはちょっと怖くて、でも小さな俺に優しく笑って
くれたんだよな。
あれから何年過ぎたんだろう。それを考えると俺も
一端の大人の年齢なんだが。


バイクで走っている時、時々感じる一体感は、体が風に
乗り、風が俺で、俺が風で…と、上手く表現できないや。
何だろう、自然と一体になるって?
その時、輝くばかりの光の中を疾走している気がして
ふわりと浮かびながら飛んでいる、そんな感じで。
もちろんベルダンディーのように、本当に空を飛ぶなんて
出来やしないが、それでもちょっとだけ、分かるんだ。


心地良い風が、まるで頭を撫ぜるように通り過ぎて行く。
自然に眠くなって来た...。



 その風は天使の息吹 ホーリーベルの子守唄。
裏庭から戻って来たベルダンディーは、縁側で眠る彼を
愛しい我が子のように見詰めながら微笑むのだった。
彼女の後ろ、白き衣を纏った天使もまた、慈愛の眼差しで
微笑み、そしてベルダンディーと目配せし、彼女の背後に
消えていった。
「螢一さんっ とても良く眠っているわ...」
起こさないように、そっと彼の傍らまで行くと、その横に
座って、いつまでも寝顔を見続けていた。


この幸せな日々、この奇跡のような時間を螢一さんっと
いつまでも、いつまでも過ごせて行けたら、と彼女は思う。
私の思い、私の願いは、ただそれだけなの。


風にそよぐ、女神の栗色の髪がまるで
切ない別れを名残惜しむ、恋人の手のひらのように
ハラハラと舞う。
いつか時が来て、その時が訪れて、そして私は悲しみの中
また彼の面影を探し続けるに違いない。
その時、その新しいあなたに出会った時、また私は喜びに
歓喜するのだわ。


幸せな日々、巡り巡りて。
寄せ返す波間のような、時間と螢一さんっと私は
いつか世界の果てで、再び回り逢えますように。





幸せな日々 それは一瞬の煌きの中に生まれる奇跡
星は巡りて 宇宙(そら)の彼方へ 旅立とうとする
心澄ませて 祈りを込めて あなたに届きますよう
この歌 時を紡ぐ世界への喜びの歌 聴こえますか


幸せな日々 幼子のような無垢なキャンバスに映す
時は巡りて あなたの元へと 逸る心隠せないから
心潤わせて 泉の辺へと向かい 慈しみ育む思いは
あの歌 時を紡ぐ世界への喜びの歌 聴こえますか




女神は歌う 幸せな日々を。


by belldan Goddess Life.