森里家の団欒

楽しい団欒には、愛がある。
それはここ、森里家の食卓でも同じだ。
「はい、螢一さんっ」
ご飯をよそったお茶碗を差し出すベルダンディー
いつもどおりの満面の笑みで彼を見詰める。
少し照れながらも、受け取る時、ふと触れる柔らかな
彼女の掌にドギマギしながら
「あ、ありがとう ベルダンディー
と螢一は嬉しそうに返答した。


食卓に並べられた、色取り取りのオカズ達にも喜びがあふれ
その使命を真っ当してほしいとせがんでいる様に見える。
迷い箸はいけない事だが、どれから食して良いのか迷うのも
無理からぬ事だ。


それをジットリと睨み付ける様にスクルド
「もぅ!自分ですれば良いのに!螢一は!」
と、不満気に文句を告げる。
もうひとり、姉のウルドは関心なさ気にして、もっぱらTV
のモニターに釘付けだ。


「螢一さんっ?どうでしょうか?」
「あ、うん!とっても美味しいよっ!」
「わぁ、良かったっ!」
「あ、あはは...」


そんな甘い会話が似合う、ここは森里家の団欒。


「螢一ちゅわん?とうでちゅか?」
「うん、とっても美味しいでしゅよ!」
「いやぁ〜ん、良かったわぁ」
「うへへ…」


螢一がジロリとウルドを睨む。
「なぁ、止めてくれないか?その腹話術?」
そう、先程の会話は、全てウルドの腹話術だった。
「なによぉ〜!いいじゃないの。ラブラブなんだし」
と言って、ニヤニヤと螢一の顔を見詰めるウルドだった。


ラブラブ?って、あんたらが居る限り、そんな進展は
皆無なんだけどな、と螢一は思う。
チラリと横目でベルダンディーの機嫌を伺うと
彼女はとても嬉しそうにしていたので、安心をする。


ウルドはTVモニターに再び目を移して、ぼんやりと
考え事をした。
あれ?あたし…何か忘れてないかしら?
「ね、ベルダンディー?あたし、何か忘れてない?」
「姉さん、私は知りませんけど…」
「じゃ、スクルド?あんた、知ってる?」
「何であたしが知ってるのよ!」
「そうだわよねぇ...」


「螢一?心当たりある?」
「へっ?」
心当たり…って、何?と螢一は訝るが、本当に心当たりが
見付からない。しかも、主語が抜けていて何が何だか
見当もつかない。


もしかしたら、アレか?いやいや、アレかも?と思い巡るが
まるっきり分からない。
う〜ん、と頭を抱えて居た所に助け舟を出したのが
ベルダンディーだった。
「姉さん、そう言えばガンちゃんは?」


「ガンちゃん、ガンちゃん…あああ!」
完全に忘れていた。と言うか、あたし、何かしたっけ?



危うしガンちゃん、と言うか、大丈夫か?ガンちゃん?



森里家の団欒。


by belldan Goddess Life.


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ガンちゃんシリーズも佳境に!(マジか?)
ガンダム・シリーズも!(何が何だか…)