銀杏

季節は巡る 春秋夏冬と
でも決して 同じ日はない。
過ぎ去った過去の 砂時計
ひっくり返して 元通り だなんて
おかしいよね ありえないよね。


季節には季節の香り 自然の芳香
芳しい香り そうじゃない香りも。


「く...臭いよぉ!」
誰かが境内の中にある銀杏の実を踏ん付けた。
でも不思議だよ、だって実がある木と、そうでない
木があるんだよ。
小さなマリアベルは、笑った。


扇の形をした葉は、緑と山吹色で
交互に置いて、丸い形にしてみた。
秋の色だね。


ある日、パパとママに尋ねたの
「生きてるってなぁに?」


「たくさんご飯を食べる事?」
「それともたくさん眠る事?」
全部、抱えきれない程の思いと共に。


雲間にかくれんぼしていた太陽が顔を覗かせ
キラキラと微笑みかけてくる。
「見つかっちゃった!」


どこにいても、君を見詰めているよって
微笑みかけてくる。
風にそよぐ木々の枝が、まるで弦楽を奏でるようで
心地よい眠りに誘われる、11月の午後。


知らない街の街路の銀杏の下でも、きっと誰かが
秋の香りを満喫したり、少し嫌な顔したりして。
それでもきっと、誰かが微笑みかける。
空の雲間から、優しい光を投げ掛ける太陽のように。


銀杏。


by belldan Goddess Life.