彼女は

大通りを左折して、一つ目の交差点を右へと周り
橋を越え、その橋の辺に小さな店がある。
階段を挟んで、右がギャラリーだ。
そして、左側はお茶の専門店らしい。
川面を走る風を感じながら、いつもそこを通るのだが
開店時間が異なる為に、いつも行けず仕舞いだった。
彼女が側車から、感嘆する。
「螢一さんっ 可愛いお店ですねっ」
そう言って彼女はとても楽しそうに笑う。
俺もつられて笑った。
「そうだね いつか行きたいな」
はいっ、と元気な返事をした彼女は、また前を向き
心地良さそうな風に身を任せるようにして。


そのまま直進し、もうひとつの大通りを左折して
少し進んで、また左折する。
その道は、俺達が働く店へと続いて行くのだ。


坦々と進んで行く日常、何時も変わりのない日々
慌しいけれど、それでもほんの一瞬でも、安らかな
思いを感じられるのは、彼女が傍にいるからなんだ。
紅茶の香り、季節の香り、色彩、世界の音色、そして
彼女の声が、モノクロームな俺の視界を変える。
陰影から色が生じ、無声から声が聴こえて
まるで止まっていた時間が動き出したかのようだ。
重なり合う音は、この世界の交響曲だね。


ベルダンディー
俺は彼女の名を呼んだ。
「はいっ 螢一さんっ」
美しく響くその声に、また世界は動き出す。


彼女は女神さまっ
彼女は時の守護神
そして彼女は、俺の恋人なんだ。


彼女は。


by belldan Goddess Life.


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最近忙しくて更新があまり出来ません。。。
訪問して下さる方には、非常に申し訳なく思ってます。
藤島氏の新連載も拝見してません(泣)
年末までは、こんな調子が続いて行きそうです。。。