夢の続きを 2

このまま 時を止めて このままで
ずっと君と その意味と 愛情と
映し鏡のような ふたり だなんて
その瞳 映る人は誰かな だなんて
もう一度 時を止めて このままで
眠っていた時間が動き出して
起きていた時間が眠り出して
まるで デタラメな世界に
ふたりの距離を測るように...


何時だったか、彼女からの誕生日プレゼントに
時計を貰った。
コスモノート、24時間を計るその世界には
地上も、宇宙も、異世界も、何も関係なく
コチコチと時を刻んで行くんだろうか。


今は、動かなくなってしまった。


知り合いの時計職人にも相談したのだが、どう言う理由で
動かないのか、理解し難いと嘆かれた。
「整備は完璧なのさっ! だけど動いてくれないんだ」
ガックリと肩を落とした職人に、労いの言葉も無く
「いや、いいんだ…ありがとう」
と伝えて、俺は店を後にした。


それ以来、腕にははめていない。


思い出の品?そう言う訳では無いのだが、箱にしまって
机の引き出しに中にしまった。


宇宙にいても、24時間が明確に分かる時計って面白い。
動かなくなってしまっても、時々箱から取り出しては
眺めている。
止まった時刻は、ちょうど彼女と別れた時刻を指して
そのままになっている。
もう、本当に動かないのだろうか?
「お〜い、時計の精霊さ〜ん!」
思わず時計に話し掛けていた。まるで彼女のように。
もちろん返事は無い。当たり前過ぎて、苦笑してしまう。
俺も整備士のはしくれ、メルヘンの世界はこれ位にして
何とか動かせる方法を考えなくちゃ。


夜、すべての動きが止まる時刻、螢一の部屋の前に
コトリと何かが置かれた。
それはとても小さなドライバー達だった。


それを置いて行った小さな生き物は、ヘンな言葉を
ボソボソと喋り、何かを伝えようとしていた。
近くの犬が、その何かに敏感に反応し、大きく唸り声を
あげた。
それを聞いた小さな生き物は、そそくさと退散して行った。


それはまるで、機械のような生き物…



夢の続きを 2


by belldan Goddess Life.