笑顔って、ステキ

子供達が待ち遠しいのは、お正月…


「はい、マリアベル お年玉よっ」
そう言ってマリアベルの小さな掌に、小さなポチ袋が
渡された。
「大切に使うのよっ」と念を押されるが、あまり聞いては
いない。
「ありがとう、ママ!そしてパパ!」
両手にしっかりと抱きしめられたそれは、年に一度の宝物。
しっかり勉強して、しっかりお手伝いをして、しっかり…


あと、何だっけ?


急いで自室に戻り、兼ねてから計画してあった作戦を
決行させるべく、カレンちゃんの家に向かう用意をした。
あれも欲しいし、でも…アレも良いかも?と思案しながら
家を出た。
「行って来ま〜す」


近所のお宮にお参りに…


待ち合わせの場所には、すでにカレンちゃんの姿があった。
「遅いよ〜マリアベルちゃん!」
「ごめんごめん!」
ふたりとも、お母さんに着せて貰った振袖姿で。


神社で参拝、その後のお楽しみ、出店で買い物だ。
りんご飴、綿菓子、フランクフルト、たこ焼き…
食べ物ばかりが目に付いてしまう。
不思議な籤、面白そうな輪投げとか、射的!とか。
目移りして困る、何時ものふたりだった。


ふと目を移すと、小さな男の子が居た。
物欲しそうにして、屋台の食べ物を見詰めていた。
不思議に思ったマリアベル達は、その男の子に声を掛ける。
「ねぇ?どうしたの?ママやパパは?」
迷子なのかな?とマリアベルは思った。


「ううん、ママ達はお家に居る…」
その男の子は、小さく呟いた。
迷子では無い事に安心したふたりは、今度は何故ひとりで
ここにいるのかを尋ねて見た。
「・・・・・・・」
男の子は、黙ってしまった。


とても悲しそうな顔、お正月なのに、どうしてこんなに
悲しい表情をしているのかしら?
ママやパパと一緒に来れない事を悲しんでいるのかしら?
それとも、お買い物が出来ないから?


マリアベルとカレンはお互いの顔を見合わせて、互いに
頷いた。「うん、そうだよねっ」
「ねぇ、お姉ちゃん達と遊ぼうよ!」とマリアベルが言うと
「そうだよ〜!今日はお正月だもん!遊ぼうよっ!」
と、カレンも優しく笑って言った。


それから…三人は手を繋いで出店の中へ消えて行った。


せっかく貰ったお年玉も、大半は消えてしまったけど
使い過ぎですよ、とママやパパにも窘められたけど
とっても楽しかったんだよ。


だって、その時の男の子の笑顔って、キラキラしていて。


笑顔って、ステキなんだよねっ。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


何分、世知辛い世の中ですが、こんな風に人に優しく出来たら
そして、たくさんの笑顔が世界にあふれたら、きっと世の中は
輝きだすと思います。